修理事例・お客様の声

iPhone 15 他店修理後も起動せず|CPUの亀裂を研磨修復・ドナー基板へ移植でデータ復旧【千葉】

画面がバキバキに割れ、他店で画面交換をしても起動しなかったiPhone 15。CPUの亀裂を研磨修復し、健康な基板へ移植してデータを残した千葉県からの郵送事例
結論

画面がバキバキに割れ、他店で画面交換をしても起動しなかったiPhone 15(千葉県 F・S様・郵送でのご依頼)。基板を2層に分けて診断すると、CPU(A16)に亀裂が入り、基板そのものが曲がって内部回路がショートしていました。CPUの亀裂は表面の層にとどまっていたため、表層を剥がして研磨し、載せ替えて修復。曲がった基板は使えないため、修復したCPUと必要なICを健康な基板(ドナー基板)へ移植し、画面は当店の標準パネルに交換しました。写真もアプリのデータもそのままの状態で、到着から丸4日でご返送しています。

iPhone 15の基板のCPU(A16)の顕微鏡写真。チップ表面の亀裂が入った部分を赤で囲んでいる
CPU(A16)の表面(顕微鏡・赤囲み)。落下の衝撃で、チップの表面の層に亀裂が入っていました。

ご相談の経緯──画面がバキバキに。交換しても直らず、データを早く戻したい

F・S様のiPhone 15は、落として画面がバキバキに割れました。近くの修理店で画面を交換したものの、端末は直らず、起動しないままだったそうです。

仕事にも使う端末で、どうしても早くデータを戻したい。そう考えて生成AI(Gemini)で「起動しないiPhoneのデータを残して直せる店」を調べ、千葉県から当店へ郵送でお送りいただきました。

この事例のポイント
  • 画面交換で直らなかった原因は画面ではなく、CPUの亀裂と基板の曲がり・内部回路のショートでした。落下の衝撃は画面だけでなく基板にも伝わります。
  • CPUの亀裂は表面の層にとどまっていたため、表層を剥がして研磨し、載せ替えることで修復できました。内部まで達する亀裂なら、修理はできません。
  • 曲がってショートした基板は使えないため、修復したCPUと必要なICを健康な基板へ移植。データを持つ部品を動かさずに済むので、写真もアプリのデータもそのまま残りました。

診断──基板を2層に分けると、CPUの亀裂と基板の曲がり・ショートが見つかりました

現在多数のご依頼をいただいている関係で、診断は到着の翌日までかかりました。iPhone 15の基板は、2枚の基板を上下に重ねて1枚にした構造(積層基板)です。重なったままでは内側を診断できないため、基板を2層に分けて(分層)、それぞれを顕微鏡で調べました。

iPhone 15の積層基板を2層に分けた状態。CPU(A16)の載った層と、もう一方の層を並べた写真
2層に分けた基板。左がCPU(A16)の載った層、右がもう一方の層です。重なった内側は、分けてはじめて診断できます。

確認できたことは、次のとおりです。

  • CPU(A16)の表面に亀裂。顕微鏡で見ると、チップの表面の層に線状に入っている
  • 基板そのものが曲がっている。横から見ると反りが分かる
  • 曲がりの影響で、基板の内部回路がショートしている
  • 電源は入らない
iPhone 15の基板を横から見た写真。基板が曲がって反りが出ている
基板を横から見たところ。落下の衝撃で基板が曲がり、内部の回路がショートしていました。

CPUの亀裂については、亀裂が表面の層にとどまっているか、内部まで達しているかで、直せるかどうかが決まります。表面の層にとどまる亀裂は、表層を剥がして研磨し、載せ替えると修理できます。内部まで達していれば修理はできません。今回は表面の層にとどまっていました。内部まで達していて修理不能と判断した例はiPhone 15 Pro 画面真っ暗の原因はCPUクラックの事例でご覧いただけます。

診断の結果と到達できる見込み、費用をメールでお伝えし、F・S様のご了承をいただいてから作業に入りました。ご了承がなければ、作業はしません。

修理──CPUの表層を研磨して修復。健康な基板へICを移植し、パネルを交換

今回行った作業は、大きく分けて次の3つです。

  • CPUの修復:亀裂の入った表層を剥がして研磨し、載せ替える。暗号化の鍵を持つCPU本体はそのまま使う
  • ドナー基板への移植:曲がってショートした基板は使えないため、修復したCPUとNANDメモリ、必要なICを同じ機種の健康な基板へ載せ替える
  • 画面の交換:当店の標準パネルに交換し、タッチと表示を確認する

iPhoneのデータはNANDメモリに保存され、CPUと組み合わせて暗号化されています。この2つの部品を元の端末のものから動かさないことが、データを残す条件です。CPUは修復して使い、NANDメモリはそのまま新しい基板へ移すため、データは読み出せます。チップの下面に並ぶ無数のはんだの点を整え直して載せ替える作業は、顕微鏡下の精密作業です。具体的な手順は当店の技術ノウハウのため公開していません。

CPUの修復と基板の移植は時間のかかる修理で、到着から返送まで丸4日かかりました。同じように基板を分層してCPUとNANDを健康な基板へ載せ替えた例はiPhone 16 Pro 海水没からのデータ復旧に、他店の修理後に起動しなくなった端末からLINEを取り戻した例はiPhone 14 Pro 水没・他店の電池交換後に起動しない事例にあります。

画面が割れて起動しなくなったとき、データを守るために
  • 充電や電源ボタンの長押しを繰り返さない:基板がショートしている端末に電気を流し続けると、損傷が広がります。
  • 画面交換で直らなかったら、それ以上の部品交換をしない:原因が基板にある場合、部品を替えても直りません。基板の診断ができる店に相談してください。
  • 新しい端末でLINEにログインしない:修理が終わる前に別の端末で同じアカウントを開くと、元の端末のトーク履歴を引き継げなくなるおそれがあります。
  • 「基板を店内で診断できますか」と聞く:画面交換で直らない端末を預けるとき、どこで、誰が基板を見るのかを確認してください。

画面割れのあとに起動しないiPhoneは、画面の問題とは限りません

落下の衝撃は、画面を割ると同時に基板にも伝わります。画面交換で直るのは、基板が無事だった場合だけです。画面交換後も起動しない、画面が真っ暗なまま反応しない、といった端末は、画面の下にある基板の診断が必要です。当店は基板を店内で診断し、CPUやNANDメモリに触れる修理まで自社ラボで行います。

画面割れの症状と対処はiPhoneの画面が割れたときの対処で、起動しない端末からのデータ取り出しは起動しないiPhoneのデータ取り出しで解説しています。

修理後に起動したiPhone 15。設定画面が表示され、タッチ操作に反応している
修理後に起動したiPhone 15。設定画面が表示され、タッチ操作も正常です。アプリもデータも修理前のままでした。
結果

CPUの亀裂を研磨修復し、健康な基板へ必要なICを移植。画面は当店の標準パネルに交換し、写真もアプリのデータもそのままの状態でご返送しました。到着の翌日に診断結果と見積もりをお伝えし、ご了承のうえ作業。到着から返送まで丸4日でした。費用は事前にお伝えした見積もりのとおりで、診断料は修理代金に含まれています。

当店の修理現場から──画面交換で直らない端末の見方

現場の一言
  • 画面交換で直らなかった端末は、基板を疑います。落下で画面が割れた端末の起動不良は、CPUの亀裂や基板の曲がりが原因のことがあります。今回は分層して診断し、原因を特定しました。
  • CPUの亀裂は、深さで直せるかどうかが決まります。表面の層なら研磨して載せ替える。内部まで達していれば修理不能とお伝えする。どちらも顕微鏡で見てから判断します。
  • データを持つ部品は動かさない。基板が使えなくなっても、CPUとNANDメモリを健康な基板へ移せば、データはそのまま残ります。

当店は総務大臣に登録された登録修理業者(R000002/T000002)として、またISO 9001:2015認証のもと、2009年から心斎橋の店舗で修理を行っています。顕微鏡下の基板修理は年間2,000件以上、外部へ送らず自社ラボ内で診断・修理します。修理店を選ぶときの考え方は修理店の選び方と非正規修理の失敗事例をご覧ください。メーカーの修理をご検討の場合はAppleの iPhone 修理サービス(公式)もあわせてご確認ください。全国からの郵送修理に対応しています。

よくあるご質問(画面交換後も起動しない・CPUの亀裂・分層・ドナー基板・データ・郵送)

Q. 画面が割れて、画面を交換しても直らない(起動しない)のはなぜですか?

落とした衝撃は画面だけでなく、内側の基板にも伝わります。画面が割れるほどの衝撃では、基板が曲がったり、CPUなどのチップに亀裂が入ったりすることがあります。その場合、画面を新品に替えても端末は起動しません。今回のiPhone 15は、CPUの亀裂と基板の曲がり、内部回路のショートが原因でした。画面交換後も起動しない端末は、基板の診断が必要です。

Q. CPUに亀裂が入っていても直せるのですか?

亀裂の深さによります。チップ表面の層にとどまる亀裂は、表層を剥がして研磨し、載せ替えると修理できます。今回はこの方法で直りました。一方、亀裂がCPUの内部まで達している場合は修理できません。iPhone 15 Proで画面が真っ暗になり、CPU内部まで達するひびで修理不能と判断した例もあります。どちらかは、顕微鏡で診断してからお伝えします。

Q. 「基板を2つに割る」とはどういう作業ですか?

最近のiPhoneの基板は、2枚の基板を上下に重ねて1枚にした構造(積層基板)です。CPUは上の層、NANDメモリなどは下の層にあり、重なったままでは内側を診断できません。そこで2層に分けて(分層)、それぞれの層を顕微鏡で調べます。分けた基板は、修理後に元どおり重ねて動作を確認します。

Q. 健康な基板へ移植しても、データは残るのですか?

はい。写真やLINEなどのデータはNANDメモリに保存され、CPUと組み合わせて暗号化されています。この2つの部品を元の端末のものから動かさず、曲がってショートした基板の代わりに健康な基板(ドナー基板)へ載せ替えれば、データはそのまま読み出せます。今回もCPUを修復したうえで必要なICを移植し、写真もアプリのデータも修理前のままでした。

Q. 修理にかかった期間はどのくらいですか?

到着の翌日に診断の結果と見積もりをメールでお伝えし、ご了承をいただいてから作業に入りました。今回は到着から返送まで丸4日です。CPUの修復と基板の移植は時間のかかる修理で、ご依頼の状況によって診断までの日数は前後します。

Q. 画面交換をすると、データは消えますか?

画面やバッテリーなどの部品交換では端末を初期化しないため、データは残ります。ただし、基板に修理できない箇所がある場合は、データを残せないことがあります。画面割れのあとに起動しなくなった端末は、画面交換の前に基板の状態を確認したほうが、データを守れる可能性が高くなります。

Q. 費用はどのように決まりますか?診断料はかかりますか?

電源が入らない端末は、基板を診断しないと原因も費用も分かりません。端末を開けて診断し、結果と見積もりをメールでお伝えします。ご了承をいただいてから作業に入り、ご了承がなければ作業はしません。診断料は、修理した場合は修理代金に含まれます。修理できない場合や作業を見送られた場合のみ、診断料をいただきます。

Q. 郵送で依頼するとき、割れた画面はそのままでいいですか?

はい。割れた画面のまま、電源を入れたり充電したりせずに梱包してお送りください。ガラスの破片が散らないよう、画面側をラップやビニールで覆うと安全です。全国から郵送で受け付けており、診断の結果と見積もりはメールでお知らせします。

Q. iPhone 15の基板修理やデータ復旧は対応していますか?

はい。iPhone 15(A16チップ)を含む現行機種の基板修理・データ復旧に対応しています。他店での画面交換後に起動しなくなった端末、落下で基板が曲がった端末、CPUやNANDメモリの修復が必要な端末のご相談を、店頭と郵送で受け付けています。

用語の解説(分層・CPU・表層の研磨・ドナー基板・IC移植・NANDメモリ)
  • 分層:上下2枚を重ねて1枚にしたiPhoneの基板(積層基板)を、2層に分ける作業。重なった内側のチップや回路を診断・修理するために行い、修理後に元どおり重ねて動作を確認する。
  • CPU(SoC・A16):iPhone 15の計算と制御を担う中心のチップ。NANDメモリと組み合わせてデータを暗号化しているため、別の個体のCPUに替えるとデータは読めない。
  • 表層の研磨:チップ表面の層に入った亀裂を、表層を剥がして研磨し、載せ替えて直す修理。亀裂がチップの内部まで達している場合は対象にならない。
  • ドナー基板:曲がりやショートで使えなくなった基板の代わりに、CPUやNANDメモリなどを移す先となる、同じ機種の健康な基板。
  • IC移植(BGA・リボール):チップの下面に並ぶ無数のはんだの点(BGA)を整え直し(リボール)、別の基板へ載せ替える作業。顕微鏡下のマイクロソルダリングで行う。
  • NANDメモリ:写真・アプリ・LINEのトーク履歴などのデータが保存されている部品。CPUとペアで動作する。

関連ページ

関連記事基板修理について 関連記事起動しないiPhoneからのデータ取り出し 関連記事iPhoneの画面が割れたときの対処 関連記事iPhone 15シリーズの修理 関連記事全国対応の郵送修理について 関連記事大阪・心斎橋店へのご来店
この記事の監修
執筆:スマートドクタープロ編集部監修:古賀潤一郎(代表)

スマートドクタープロ(運営:株式会社クレア/法人番号 8120001165987)。総務省登録修理業者(電気通信事業法:T000002/電波法:R000002)・ISO 9001:2015認証。基板の電源IC・充電IC・漏電まで診断・修理できる技術力と、年間6万件以上の修理実績をもとに、編集部が作成し、代表・古賀潤一郎(大阪心斎橋本店)が監修しています。

総務省
登録修理業者
電気通信事業法:T000002
電波法:R000002
ISO 9001:2015
年間修理実績
6万件以上
(年間)
掲載情報は公開日時点の内容です。Appleの仕様変更・iOSアップデート・法令改正などに応じて、技術品質管理室が定期的に内容を見直し・更新しています。