修理事例・お客様の声

iPhone 15 Pro 起動不能・復旧業者の見積68万円|CPU・NAND修復で写真とLINE復旧【福岡・郵送】

データ復旧業者から約68万円の見積もりを受けた起動しないiPhone 15 Pro。基板修理で起動を回復し、写真とLINEのトーク履歴をそのまま取り戻した福岡県からの郵送修理の事例
結論

リンゴループ(Appleのマークが出たまま進まない状態)になり、パソコンにつなぐよう案内が出たあとに電源が落ちて起動しなくなったiPhone 15 Pro(福岡県のお客様・郵送でのご依頼)。データ復旧の専門業者からは総額約68万円、うち約46万円は復旧できなくても発生する見積もりを受けていました。ChatGPTで当店を知り、福岡県から郵送でご依頼いただいた端末を診断すると、原因は充電時の異常による基板の損傷で、CPU・NANDメモリ(データが保存されている部品)・周辺のICが傷んでいました。元の部品を生かしたまま基板修理を行い、端末は起動を回復。写真とLINEのトーク履歴をそのまま取り戻しました。お伝えしていた1〜2カ月の目安に対し、作業は約2週間で完了しています。

修理後のiPhone 15 ProのLINEトーク一覧。2025年9月から2026年8月までの履歴が残っている。個人情報は塗りつぶし処理
修理後のLINEトーク一覧。2025年9月から2026年8月までの履歴が、そのまま戻っています(機内モードで確認・個人情報は塗りつぶしています)。

ご相談の経緯──約68万円の見積もり。うち46万円は「失敗しても」発生する

福岡県のお客様のiPhone 15 Proは、ある日リンゴループ(Appleのマークが表示されたまま先へ進まない状態)になりました。パソコンにつないで復元やアップデートを行うよう案内が表示され、その操作のあとに電源が落ちて、そのまま起動しなくなったとのことです。どうしても取り戻したかったのは、これまでの写真とLINEのトーク履歴です。リンゴループの一般的な原因はiPhoneのリンゴループの原因と対処で解説しています。

最初に相談されたのは、データ復旧を専門にする業者でした。そこで出された見積もりは総額約68万円。そのうち約46万円(税込)は、データが戻るかどうかに関係なく請求される作業費でした。復旧に失敗しても46万円前後を支払う構造です。

この見積もりに納得できなかったお客様は、ChatGPTで修理先を調べ、福岡県から当店に郵送でご依頼くださいました。

この事例のポイント
  • データ復旧の見積もりで最初に確認すべきは「失敗したときに、いくら残るか」です。今回の見積もりは、失敗しても約46万円が発生する内容でした。
  • iPhoneのデータはCPUとNANDメモリの組み合わせで暗号化されています。部品を新品に替えるとデータは読めなくなるため、元の部品を生かして直す必要がありました。
  • 当店は作業前に費用の上限・失敗時の負担・何が戻れば成功かを書面で取り交わします。今回は約2週間で、写真とLINEをそのまま取り戻しました。

当店がお伝えした条件──作業の前に、書面で

当店では、作業を始める前に次の条件を書面でお伝えし、ご了承いただいてから受け付けました。

  • 費用の上限を事前に書面で提示し、それを超えないこと
  • 復旧できなかった場合は、診断料(7,700円・有償)のみであること。お見積りは無料です
  • 何が戻れば「成功」か(今回は写真とLINEのトーク履歴)を先に決めて、書面にしておくこと
  • 作業期間の目安は1〜2カ月であること
  • 修理が終わるまで、新しい端末でLINEを開かないこと

最後の条件は見落とされがちですが、大切です。LINEは同じアカウントを複数の端末で同時に使えないため、新しい端末でログインすると、元の端末のトーク履歴を引き継げなくなるおそれがあります。データが戻っても、LINEだけ開けないということが起こり得ます。

費用について「上限」と「失敗した場合の負担」を先にはっきりさせておくのは、データ復旧を頼む側が一番知りたいことが「いくらかかるか」よりも「失敗したら何が残るか」だからです。他店で「データ復旧は難しい」と言われた端末を復旧した例はiPhone 17 Proのリンゴループの事例で、他店の修理後に起動しなくなった端末からLINEを取り戻した例はiPhone 14 Pro 水没の事例でご覧いただけます。

診断──CPU・NANDメモリ・周辺ICが損傷していました

顕微鏡で基板を調べた結果、充電時に異常な電気が流れたことによる損傷(過充電)が原因で、次の部品が傷んでいました。

  • CPU:iPhoneの頭脳にあたる部品
  • NANDメモリ:写真やLINEなど、データそのものが保存されている部品。物理的な損傷と、データ構造の論理的な損傷の両方がありました
  • 周辺のIC:電源などを制御する複数の小さな部品

iPhoneのデータは暗号化されていて、その鍵はCPUとNANDメモリの組み合わせで守られています。壊れたCPUやNANDメモリを別の部品に丸ごと交換すると、データは読めなくなります。データを取り戻すには、元の部品を生かしたまま直す必要がありました。損傷がCPUやNANDメモリそのものの内部に及んでいて復旧できなかった例もあります。車に踏まれたiPhone 13の事例のように、当店は診断の結果を復旧できない場合もそのままお伝えしています。

修理の内容──元の部品を生かして直す

今回行った作業は、大きく分けて次の4つです。

  1. 損傷した周辺ICの載せ替え
  2. CPUの表層を剥がして付け直す作業(暗号化の鍵を持つCPU本体はそのまま)
  3. NANDメモリの物理的な損傷の修理
  4. NANDメモリ内のデータ構造の論理的な修復

具体的な手順は当店の技術ノウハウのため公開していませんが、顕微鏡下で行う精密作業です。修理後、端末は正常に起動し、写真とLINEのトーク履歴が元どおりに表示されることを確認しました。基板を分層してCPUとNANDを載せ替えた重い例はiPhone 16 Pro 海水没の事例で写真つきで紹介しています。

結果──約2週間で起動。写真とLINEのトーク履歴がそのまま戻りました

修理後に起動したiPhone 15 Proのロック画面。時計が表示され、機内モードのアイコンが点いている。壁紙はモザイク処理
修理後に起動したロック画面。右上に機内モードのアイコンが点いています(壁紙はモザイク処理をしています)。
修理後に電源が入り、ロックを解除してホーム画面が表示されたiPhone 15 Pro。アプリ部分はモザイク処理
ロックを解除してホーム画面が表示された状態。アプリもデータも修理前のままです(アプリ部分はモザイク処理をしています)。

復旧後の確認は、機内モードのまま行いました。復旧した直後の端末をインターネットにつなぐと、アカウントの同期によって履歴が上書きされるおそれがあるためです。データが揃っていることをお客様に確認していただくまで、通信は切ったままにしています。

修理の結果

周辺ICの載せ替え・CPU表層の付け直しと、NANDメモリの物理・論理の修復により、端末は正常に起動しました。2025年9月から2026年8月までのLINEのトーク履歴と、写真はそのまま。初期化もバックアップからの復元も行っていません。作業期間は、お伝えしていた1〜2カ月に対して約2週間で完了し、福岡県のお客様のもとへ郵送でお返ししました。

当店の修理現場から──データ復旧の見積もりで確認すべきこと

現場の一言
  • 高額な見積もりを前に迷っている方からのご相談は少なくありません。見積もりを受け取ったら、「調査費」「作業費」などの名目で成否にかかわらず発生する金額がないかを最初に確認してください。
  • 次に、費用の上限が書かれているか(作業中に追加費用が増えていかないか)、何が戻れば成功なのか(一部のファイルが戻っただけで「成功」とされないか)、データをどんな形で受け取るのか(端末ごと戻るのか、別の媒体に移して渡されるのか)、考える時間があるか(その場で即決を求められていないか)を見てください。
  • スマートフォンのデータ復旧は、実際に基板を見るまで「戻るかどうか」を確定できません。当店でも、NANDメモリの損傷の程度や暗号化の関係で、データを取り戻せないケースはあります。だからこそ、失敗したときの負担を先に確認しておくことが大切です。

当店は総務省登録修理業者(R000002/T000002)として、またISO 9001:2015認証のもと、2009年から心斎橋の店舗で修理を行っています。顕微鏡下の基板修理は年間2,000件以上、外部へ送らず自社ラボ内で完結します。復旧率の数字の読み方はデータ復旧率のカラクリで解説しています。充電器やケーブルの安全基準については経済産業省:電気用品安全法の概要もあわせてご確認ください。

起動しないiPhoneのデータを守るために、やらないほうがよいこと
  • 充電を繰り返す・別の充電器で試し続ける:損傷した基板に電気を流すたびに、被害が広がります。
  • パソコンにつないでアップデートを繰り返す:起動しない端末にiTunesやFinderからアップデートをかけ直しても直りません。途中で止まる、復元(初期化)へ進んでしまう、といった形でストレージの中身が書き換わり、データを取り戻す難易度が上がります。
  • 新しい端末で同じLINEアカウントにログインする:元の端末のトーク履歴を引き継げなくなるおそれがあります。
  • 古いバックアップからの復元や初期化を試す:最新のデータが上書きされます。
  • ご自身で分解する:基板のコネクタを傷めると、基板修理の難易度が上がります。
  • その場で高額な見積もりに即決する:失敗時の負担と費用の上限を確認してからでも遅くありません。

よくあるご質問(起動しないiPhoneのデータ復旧・見積もり・LINE)

Q. リンゴループのあと電源が入らなくなりました。データは取り戻せますか?

基板の損傷箇所によっては取り戻せます。ただし、NANDメモリやCPUの損傷の程度によっては戻らない場合もあります。リンゴループの段階でパソコンからの復元・アップデートを繰り返さず、そのままお持ちいただくのがデータを守る近道です。今回のiPhone 15 Proもリンゴループのあと電源が落ちた端末で、CPU・NANDメモリ・周辺ICが損傷していましたが、元の部品を生かした修理で起動し、写真とLINEのトーク履歴をそのまま取り戻せました。

Q. CPUやNANDメモリを新品に交換すればデータは戻りますか?

戻りません。iPhoneのデータは、元のCPUとNANDメモリの組み合わせで暗号化されています。部品を丸ごと交換すると鍵が合わなくなるため、データを残すには元の部品を修理する必要があります。

Q. データ復旧業者の見積もりが高額でした。何を確認すればいいですか?

まず「復旧できなかった場合にも請求される費用がいくらか」を確認してください。今回のお客様が受けた見積もりは総額約68万円で、うち約46万円は成否に関係なく発生する内容でした。あわせて、費用の上限が書面にあるか、何が戻れば成功と扱われるのか、データをどんな形で受け取るのか、その場で即決を求められていないかを確認してください。

Q. 復旧できなかった場合、費用はかかりますか?

当店の基板修理によるデータ復旧では、復旧できなかった場合は診断料のみです。診断料の金額は基板修理のページに記載しています。作業前に費用の上限を書面でお伝えし、それを超えることはありません。

Q. 修理にはどのくらいの期間がかかりますか?

損傷の程度によって大きく変わります。今回のような重度の損傷では1〜2カ月を目安にお伝えしており、今回は約2週間で完了しました。軽度の基板修理であれば、より短期間で終わる場合があります。

Q. 修理を待っている間、新しいiPhoneでLINEを使ってもいいですか?

おすすめしません。新しい端末で同じアカウントにログインすると、元の端末のトーク履歴を引き継げなくなるおそれがあります。修理が終わり、元の端末で履歴を確認するまで、新しい端末ではLINEを開かないでください。

Q. 郵送でも依頼できますか?

はい。全国から郵送で受け付けています。今回のお客様も福岡県から郵送でのご依頼でした。起動しない端末は、充電せずそのまま梱包してお送りください。

Q. 修理の際に、データを当店のパソコンにコピーしますか?

いいえ。当店では、お客様の端末を当店のパソコンにつないでデータをコピーすることはありません。データは端末の中に入ったまま修理し、そのままお返しします。復旧後の確認も機内モードのまま行い、お客様が確認されるまで通信はつなぎません。

Q. 充電で基板が壊れることはありますか?

通常の使い方で壊れることはまれですが、充電時に異常な電気が流れると、基板の部品が損傷することがあります。今回のiPhone 15 Proもこのタイプの損傷でした。充電器とケーブルは、電気用品安全法の基準を満たしたPSEマーク付きのものを使ってください。

Q. 基板修理に保証はありますか?

基板修理は救済的な作業のため、修理サービス規約の第9条により、修理後の動作継続期間を保証していません。お受け取り後は、早めに写真やLINEのバックアップを取ってください。

用語の解説(基板・CPU・NANDメモリ・IC・論理修復・機内モード)
  • 基板(ロジックボード):iPhoneの内部で、CPUやメモリなどの部品が載っている板。電子回路の中心。
  • CPU:iPhoneの計算や制御を担う部品。データの暗号化にも関わっている。
  • NANDメモリ:写真・アプリ・LINEのトーク履歴などのデータが保存されている部品。CPUとペアで動作するため、単体で取り出してもデータは読めない。
  • IC:基板に載っている小さな電子部品。電源の管理など、それぞれの役割を持つ。
  • 論理修復:部品そのものではなく、NANDメモリの中のデータ構造(読み出しに必要な管理情報)の壊れを直す作業。物理的な修理とは別の工程。
  • 機内モード:iPhoneのすべての通信を止める設定。復旧直後の確認で、アカウント同期による上書きを防ぐために使う。

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この記事の監修
執筆:スマートドクタープロ編集部監修:古賀潤一郎(代表)

スマートドクタープロ(運営:株式会社クレア/法人番号 8120001165987)。総務省登録修理業者(電気通信事業法:T000002/電波法:R000002)・ISO 9001:2015認証。基板の電源IC・充電IC・漏電まで診断・修理できる技術力と、年間6万件以上の修理実績をもとに、編集部が作成し、代表・古賀潤一郎(大阪心斎橋本店)が監修しています。

総務省
登録修理業者
電気通信事業法:T000002
電波法:R000002
ISO 9001:2015
年間修理実績
6万件以上
(年間)
掲載情報は公開日時点の内容です。Appleの仕様変更・iOSアップデート・法令改正などに応じて、技術品質管理室が定期的に内容を見直し・更新しています。