修理事例・お客様の声

iPhone 15 Pro 復元エラー9で起動不能|CPU・NAND移植でデータ復旧【東京都・郵送】

復元エラー9で起動しなくなったiPhone 15 Pro。CPUとNANDメモリをリボールして健全な基板へ載せ替え、初期化せずにデータを復旧した事例
修理の概要

リカバリーモードから起動せず、アップデートがエラー9で止まるiPhone 15 Proを、東京都のK・T様から郵送でお預かりしました。CPUとNANDメモリの接続面のショートを確認し、リボールして健全な基板へ移植。初期化せずに起動とデータを確認し、端末到着後2日で修理を完了しました。

今回の修理事例
機種iPhone 15 Pro
ご依頼東京都 K・T様/郵送
症状リカバリーモードから起動せず、アップデート時にエラー9
処置CPU・NANDのリボールと健全な基板への移植
結果初期化せずに起動・データを確認
今回の修理期間端末到着後2日
診断料7,700円

修理期間は今回の事例です。故障の状態や必要な作業によって異なります。

ご相談の経緯|朝起きるとリカバリーモードに

前日まで使えていたiPhone 15 Proが、朝にはパソコンとケーブルの絵を表示して起動しなくなっていました。落下・水濡れの心当たりはなく、パソコンで「アップデート」を選んでも、途中で「不明なエラーが発生しました(9)」と表示されます。

K・T様によると、都内の修理業者を数件回っても改善せず、「基板修理を頼んでもデータは残らない。初期化したほうがよい」と説明されたそうです。写真に加え、仕事で使う書類などのデータが必要だったため、ChatGPTで相談して当店を知り、東京都から郵送いただきました。

Macの画面に表示された「iPhone “iPhone” をアップデートできませんでした。不明なエラーが発生しました (9)。」のダイアログ。ソフトウェアの欄はiPhoneリカバリモード
ご相談時に届いたスクリーンショット。FinderにiPhoneのリカバリーモードとエラー(9)が表示されています。

エラー9だけでは、故障箇所やデータ復旧の可否は分かりません

Appleはエラー9などが表示された場合に、パソコンのソフトウェアの更新、データを残してiOSを再インストールする「アップデート」、別のUSBケーブルやパソコンの使用などを案内しています(Apple「復元時にエラー9、4005、4013、4014が表示される場合」)。

これらを試しても改善しなければ、端末側の故障も疑われます。ただし、エラー9というコードだけで、CPU・NANDの故障や基板のショートを特定することはできません。今回も端末をお預かりして基板を診断しました。

診断|CPUとNANDメモリの接続面にショート

基板を取り出し、2枚に重なった基板を分層して調べたところ、CPU(A17 Pro)とNANDメモリの両方で、基板との接続面にショートを確認しました。ショートは、本来つながってはいけない箇所が電気的につながる短絡のことです。

2枚に分層したiPhone 15 Proの基板。左は電波系のシールドとSIMトレイが付いた面、右はチップを取り外したあとのはんだ接点が並ぶ面
2枚に重なった基板を分層したところ。右側の基板は大きなチップを取り外したあとで、接点が格子状に並んでいます。この接続面に短絡がありました。

今回の診断内容と、データを保持している元のCPU・NANDを移植する方針をメールでご説明し、ご了承をいただいてから修理に入りました。

処置|CPU・NANDをリボールし、健全な基板へ移植

iPhoneのデータはNANDメモリに保存されていますが、読み出すにはCPU内のSecure Enclaveなどに結び付いた暗号鍵が必要です。NANDだけを別の基板へ移しても、保存データをそのまま読み出せるわけではありません。機種に応じて、元のCPU・NANDと関連するICの組み合わせを保持する必要があります。

今回は元のCPU・NANDを取り外し、接続用のはんだボールを付け直すリボールを行いました。その後、同じiPhone 15 Proの健全な基板(ドナー基板)へ、顕微鏡下で載せ替えました。

基板から取り外したiPhone 15 ProのCPU(裏面のはんだ接点が格子状に並ぶ)と、緑色のNANDメモリ
取り外したCPU(上・裏面の接点が見えています)とNANDメモリ(下・緑色)。この接続面をリボールし直してから、健全な基板へ載せ替えます。

同じエラー9でも、復旧できるかは損傷状態によります

今回は元のCPU・NANDを使って起動でき、データを確認できました。ただし、接続面を直したりICを移植したりすれば、どの端末でも復旧できるということではありません。CPU・NANDなどの損傷状態や、必要な情報が保持されているかによって、結果は異なります。

当店では、画面やバッテリーの交換に加え、分層・リボール・CPU移植・NAND移植を心斎橋の店舗内で行っています。症状に合わせて故障箇所を診断し、修理方法をご案内します。

関連する事例として、iPhone 15 ProのCPU・NAND修復によるデータ復旧、iPhone 17 Proの水濡れ・エラー4013からのデータ復旧も掲載しています。

結果|端末到着後2日で修理完了、初期化せずにデータを確認

白い布の上に並べた、分層したiPhone 15 Proの基板2枚。CPUとNANDメモリが実装された面と、シールドの付いた面
載せ替えを終えた基板の2枚。上下の層を貼り合わせて本体に戻し、起動を確認します。
修理の結果

移植後はリカバリーモードに入らず起動し、ホーム画面の操作とアプリの表示を確認しました。写真・仕事で使う書類・連絡先・アプリのデータが残った状態を確認して、K・T様へご返送しています。初期化もバックアップからの復元も行っていません。

今回の修理期間は、端末到着後2日です。データの複製・保管・納品は行わず、修理した端末をご返送します。

作業完了後の動作チェック(13秒・無音)。ホーム画面の操作とアプリの表示を確認しています。端末の周囲にはぼかしを入れています。

診断料は7,700円|修理内容と料金は診断後にご案内

起動しない端末は、分解して診断するまで原因や修理の可否が分からないことがあります。診断料は7,700円です。診断後、修理内容・データが残る見込み・修理料金をメールでお知らせし、ご了承をいただいてから修理を進めます。

診断料は修理の可否にかかわらず発生します。修理をご希望されない場合は、診断終了時の状態でご返送します。診断料と返送料はお客様のご負担です。

当店の修理現場から

iPhone 15 Proの基板修理は、持ち込みと郵送を合わせて週に30台前後が当店に入庫しています。エラーコードやリカバリーモードで止まる端末も、症状の表示と基板の診断結果を分けて確認しています。

当店は総務大臣に登録された登録修理業者(R000002/T000002)として、またISO 9001:2015認証のもと、2009年から心斎橋の店舗で修理を行っています。顕微鏡下の基板修理は年間2,000件以上。症状の内訳は電源不良・水没や湿気・リンゴループがそれぞれおよそ3割で、今回のようなNAND・CPU級の修理が約1割です。持ち込みと郵送はおよそ半々で、沖縄・奄美の離島から北海道まで全国からお送りいただいています。メーカーでの修理をご検討の場合はAppleの修理サービス(公式)もあわせてご確認ください。

基板を直せる店の、日常の交換修理

CPUやNANDメモリを載せ替える作業は、当店では特別な仕事ではなく、顕微鏡の下で日々行っている作業の一つです。同じ技術者が、画面交換やバッテリー交換も担当しています。だからこそ、交換で直らない故障を交換で済ませることはしません。

当店の交換修理の考え方

当店のバッテリー交換・画面交換は、交換して終わりではありません。
交換で直らない故障を、交換で済ませることはしません。
基板側に原因が疑われる場合は、その場でお伝えし、基板診断(別メニュー・有償)をご案内します。
診断を独立した有償メニューとして提供できること——それが、修理屋の交換です。

今回も、基板の診断を経て修理方法をご案内しました。私たちは部品の交換屋ではなく修理屋です。

データが必要なときは「復元」を選ぶ前にご確認ください

エラー9・リカバリーモードでお困りの方へ
  • 「復元」は端末のデータを消去する操作です。バックアップがなく、本体のデータが必要な場合は、操作を進める前にご相談ください。
  • Appleの案内に沿って「アップデート」や接続環境の確認を行っても改善しない場合は、同じ操作を繰り返す前に診断をご相談ください。
  • 端末が発熱している場合や、水濡れ・破損がある場合は、充電や通電を続けずに状態をお知らせください。

操作の違いはiPhoneがリカバリーモードになったときの対処で、起動しない端末からのデータ取り出しは起動しないiPhoneからのデータ取り出しで説明しています。

よくあるご質問

Q. iPhoneのエラー9が出ました。データは残っていますか?

エラー9という表示だけでは、データが残っているか、取り出せるかは分かりません。今回はCPU・NANDの接続面を修復し、健全な基板へ移植することで、初期化せずに起動とデータを確認できました。復旧の可否は、故障箇所や損傷の状態によって異なります。

Q. 別のケーブルやパソコンでもエラー9が出ます。基板の故障ですか?

端末側の故障も疑われますが、それだけで基板故障とは断定できません。Appleの案内に沿った確認で改善しない場合は、端末の診断が必要です。データが必要な場合は、「復元」で初期化する前にご相談ください。

Q. リカバリーモードの画面で「復元」を押してもよいですか?

「復元」は端末のデータを消去してiOSを入れ直す操作です。バックアップがなく本体のデータが必要な場合は、操作を進める前にご相談ください。「アップデート」はデータを残したままiOSの再インストールを試みる操作ですが、故障の状態によっては完了しません。

Q. 他店で初期化を勧められました。データ復旧を相談できますか?

ご相談いただけます。今回も他店で初期化を勧められたというご相談でしたが、当店で診断・修理し、データを確認できました。ただし、他の端末でも同じ結果になるとは限りません。診断後に復旧の見込みと修理内容をご案内します。

Q. CPU・NAND移植とは、どのような作業ですか?

元の基板からCPU・NANDメモリと必要な関連ICを取り外し、接続用のはんだを整えて、同じ機種の健全な基板へ載せ替える作業です。保存データの暗号化に元のCPUなどが関わるため、NANDだけを移してもデータをそのまま読み出せるわけではありません。

Q. 古いiPhoneのエラー9も、同じ方法で復旧できますか?

機種と損傷の内容によります。接続面の修復やIC移植が有効な場合もあれば、チップや保存情報の損傷によって復旧できない場合もあります。機種の古さやエラーコードだけで判断せず、診断してご案内します。

Q. 診断料と修理料金は、いつ分かりますか?

診断料は7,700円です。修理料金は診断後に、修理内容とデータが残る見込みとともにメールでご案内します。ご了承をいただいてから修理を進めます。診断料は修理の可否にかかわらず発生し、修理をご希望されない場合は診断終了時の状態でご返送します。診断料と返送料はお客様のご負担です。

Q. 郵送修理には何日かかりますか?

今回のiPhone 15 Proは、端末到着後2日で修理を完了しました。修理に必要な日数は故障の状態や作業内容によって異なります。東京都を含め、全国から郵送で受け付けています。送り方は郵送修理のページでご確認ください。

用語の解説
  • リカバリーモード:パソコンにつないでiOSのアップデートや復元を行うためのモード。画面にパソコンとケーブルの絵が表示されます。
  • エラー9:iPhoneのアップデートや復元の途中に表示されるエラーコードの一つ。コードだけでは故障箇所を特定できません。
  • 「復元」と「アップデート」:「復元」はデータを消去してiOSを入れ直す操作。「アップデート」はデータを残したままiOSの再インストールを試みる操作です。
  • NANDメモリ:写真・書類・連絡先・アプリのデータなどを保存するストレージのチップ。
  • Secure Enclave:CPUに組み込まれたセキュリティのための仕組み。保存データを保護する暗号鍵の管理にも関わります。
  • リボール:取り外したチップの裏面に、基板との接続に使うはんだボールを付け直す作業。
  • BGA:チップの裏面に格子状のはんだボールを並べ、基板につなぐ部品の形式。
  • ドナー基板:IC移植の受け皿として使う、同じ機種の健全な基板。

関連ページ

関連記事iPhoneの基板修理・データ復旧について 関連記事起動しないiPhoneからのデータ取り出し 関連記事iPhoneがリカバリーモードになったときの対処 関連記事iPhone 15シリーズの修理 関連記事全国対応の郵送修理について 関連記事大阪・心斎橋店へのご来店
この記事の監修
執筆:スマートドクタープロ編集部監修:古賀潤一郎(代表)

スマートドクタープロ(運営:株式会社クレア/法人番号 8120001165987)。総務省登録修理業者(電気通信事業法:T000002/電波法:R000002)・ISO 9001:2015認証。基板の電源IC・充電IC・漏電まで診断・修理できる技術力と、年間6万件以上の修理実績をもとに、編集部が作成し、代表・古賀潤一郎(大阪心斎橋本店)が監修しています。

総務省
登録修理業者
電気通信事業法:T000002
電波法:R000002
ISO 9001:2015
年間修理実績
6万件以上
(年間)
掲載情報は公開日時点の内容です。Appleの仕様変更・iOSアップデート・法令改正などに応じて、技術品質管理室が定期的に内容を見直し・更新しています。