
雨の日に使ったあと、背面カメラのレンズの内側に水滴が入り、カメラが使えなくなったiPhone 16 Pro Max(フィンランドからお越しの K・G様)です。電源は入り、写真や連絡先のデータは無事でした。分解すると水没判定シールは赤く反応し、内部にも水滴が残っていました。水没洗浄で水分を取り除きましたが、カメラユニットの内部まで水が入って起動しないため、アウトカメラ(背面カメラ)本体を交換。旅行の途中、作業約1時間・データはそのままで、カメラが使える状態に戻りました。
ご相談の経緯──13時間のフライトで来た日本で、カメラが使えない
K・G様はフィンランドからお越しの旅行者です。飛行機で13時間、念願だった日本にようやく来られたところでした。雨の日に屋外でiPhone 16 Pro Maxを使ったあと、背面カメラのレンズに水滴が見えるようになり、カメラが使えなくなったそうです。電源は入り、それ以外の操作はできる。ただ、旅行中に写真が撮れないのは困る。
検索で当店の多言語ページを見つけ、心斎橋の店舗までお越しくださいました。ご要望は「旅行中に、できればその日のうちにカメラを使える状態に戻したい」の一点でした。
- カメラのレンズの内側に水滴が見えたら、端末の中に水が入っています。電源が入っていても水没です。今回も水没判定シールは赤く反応していました。
- 水没洗浄で内部の水分は除去できましたが、カメラユニットの内部まで浸水していたため、洗浄だけではカメラは戻りませんでした。洗浄で戻る部分と交換が必要な部分を、実機で切り分けてからご提案しました。
- データは基板の上に残っています。基板がショートする前に水分を取り除くことが、写真や連絡先を守る最短の道です。
症状──電源は入る。でもレンズの内側に水滴があり、カメラが使えない
お預かりした時点の状態は次のとおりでした。
- 背面カメラの3つのレンズの内側に水滴と曇りが見える(外から拭いても取れない)
- カメラが使えない。旅行中の撮影ができない状態
- 電源は入り、画面の操作はできる
- 雨の日に屋外で使用したあとに発生。水に沈めた覚えはない
「電源が入って使えているから水没ではない」と思われがちですが、水没かどうかは動作の有無ではなく、内部に水分が入ったかどうかで決まります。動いている水没端末は、そのまま使い続けるうちに水分が回路へ回り、ある日突然起動しなくなります。電源が入るのに水没だった例は、iPhone 15 Proの画面が真っ黒になった事例や、水没したのに普通に使えるiPhoneの注意点でも解説しています。
診断──開けてみると、水没判定シールは赤。内部にも水滴が残っていました
ディスプレイを開いて内部を確認しました。水没判定シール(LCI)は赤く反応しており、端末の中に水分が入った履歴があることが分かります。
内部の上部、ちょうどカメラに近い側には水滴がそのまま残り、基板を覆うシールドには水分が乾いた白い痕が広がっていました。雨の日から時間がたっても、密閉された内部の水分は抜けません。今回、水がどこから入ったかまでは特定していません。ただ、水滴の分布から、上部のカメラ周辺に多く入ったことは確かでした。
なぜ雨だけでカメラに水が入るのか
iPhone 16 Pro Maxは耐水性能(IP68)を備えていますが、これは真水・常温・静止した水中という試験条件のもとでの性能です。落下や経年でパッキンやシール材は劣化し、耐水性能は使うほど落ちていきます。Appleも、耐水性能は永続的なものではないと公式に案内しています。
加えて、雨の日には結露が起きます。屋外の寒さや雨で冷えた端末を、温かいポケットやバッグに入れると、温度差で内部の空気中の水分が水滴になります。レンズの内側に見える水滴の多くは、この結露です。カメラユニットはレンズとセンサー、手ぶれ補正の機構が密に組まれた精密部品で、内部に水分が入ると起動しなくなります。お風呂での結露については防水スマホがお風呂で壊れる理由で、レンズの曇り全般はiPhoneのカメラが曇る・ぼやける原因で解説しています。
- 電源を入れ直す・再起動を繰り返す:内部に水分が残った状態で通電すれば、回路はショートします。
- 充電する:「充電すれば直るかも」が、電源ICを損傷させる最も多いきっかけです。
- ドライヤーやヒーターで温める:水分は内部の奥へ移動し、熱でパッキンと接着がさらに傷みます。
- レンズの外側を拭いて様子を見る:水滴はレンズの内側にあります。拭いても取れず、内部の水分はそのまま残ります。
- 振る・叩く:水分が基板の広い範囲に散り、被害が広がります。
実際に行った作業(約1時間)──水没洗浄、そしてアウトカメラ本体の交換
- お預かり前に、症状・データの重要度・旅行の日程を確認
- ディスプレイを開き、水没判定シールと内部の水分の状態を確認
- 水没洗浄。内部に入った水分と、乾いて残った成分を取り除き、乾燥
- 組み立てて各機能を確認。画面・タッチ・通話・充電は正常。カメラだけが起動しない
- カメラユニットの内部まで浸水していると判断し、アウトカメラ本体の交換をK・G様へご提案
- 「旅行中にカメラが使えないのは不便」とのことでご了承いただき、アウトカメラ本体を交換
- 広角・超広角・望遠の切り替え、ピント、動画撮影を確認し、お客様にもその場で撮影していただいてお渡し
水没洗浄は「洗えば全部戻る」作業ではありません。洗浄で戻る部分と、部品そのものが水でだめになった部分を、実機で切り分けるのが本当の目的です。今回は洗浄後の確認でカメラだけが戻らず、カメラユニットの内部まで水が入っていました。ここで交換をご提案し、費用をご説明したうえでご了承をいただきました。
結果──約1時間で、旅行の途中にカメラが使える状態に
水没洗浄で内部の水分と残留物を除去し、アウトカメラ本体を交換。広角・超広角・望遠のすべてで撮影でき、ピントも動画も正常に戻りました。写真・連絡先などのデータはそのまま。初期化もバックアップからの復元も行っていません。お渡しまで約1時間。K・G様は日本の写真を撮りながら、旅行の続きに戻られました。
旅行中の海外のお客様の事例は、アブダビからお越しの方のGalaxy S23 Ultra画面交換や、韓国からバイクで日本縦断中にゲリラ豪雨で水没したGalaxy Z Fold7でも紹介しています。同じiPhone 16 Proシリーズで、海に落として起動しなくなった重い例はiPhone 16 Pro 海水没からのデータ復旧をご覧ください。
For travelers visiting Osaka
If your iPhone camera fogs up or stops working after rain, water has already reached the inside of the phone. Please stop charging it and bring it in as soon as you can. Our shop in Shinsaibashi, Osaka, handles water damage cleaning, camera replacement, and logic board repair in-house, and your photos and contacts stay on the phone. English and other language guides are here: iPhone repair in Osaka (English) / Other languages.
当店の修理現場から
- 最近は毎日15組ほど、海外からのお客様が来店されます。旅行中のトラブルは「帰国してから」が使えません。まず診断で、どこまで戻せるか、旅行の日程内にお渡しできるかを最初にお伝えするようにしています。
- カメラのレンズの内側に水滴が見える端末は、すでに内部に水が入っています。電源が入っていることは安心材料ではありません。今回のように、水滴が見えた段階でお持ちいただければ、洗浄と部品交換で済みます。
- 水没を放置して基板がショートすると、失われるのは端末だけではありません。旅行の写真、家族との連絡、思い出のデータがその中にあります。早めに対処するほど、残せるものが多くなります。
当店は総務省登録修理業者(R000002/T000002)として、またISO 9001:2015認証のもと、2009年から心斎橋の店舗で修理を行っています。年間6万件以上の修理実績があり、水没洗浄・カメラ交換から基板修理・データ復旧まで自社ラボ内で完結します。iPhoneの耐水性能の考え方はAppleの公式ページiPhone 7以降の防沫・耐水・防塵性能についてもあわせてご確認ください。遠方の方は全国からの郵送修理でも同じ内容で対応しています。
よくあるご質問(雨・カメラの水滴・水没洗浄・旅行中の修理)
Q. 雨に濡れただけで、iPhoneのカメラの内側に水滴が入ることはありますか?
あります。iPhone 16 Pro Maxの耐水性能(IP68)は、真水・常温・静止した状態という試験条件のもとでの性能です。落下や経年でパッキンやシール材は劣化し、雨に濡れた端末を温かいポケットやバッグに入れると温度差で内部に結露が生じます。今回の端末も、水に沈めたわけではなく雨の日に使ったあとにレンズの内側へ水滴が入りました。
Q. カメラのレンズの内側が曇っています。放っておけば乾きますか?
曇りや水滴が見えなくなることはありますが、それは水分が消えたのではなく端末内部へ移動しただけです。内部に残った水分は基板やコネクタの腐食を進め、時間がたつほど被害が広がります。レンズの内側に水滴が見えた時点で、端末の中に水が入っていると考えて早めにご相談ください。
Q. 電源が入って普通に使えているのに、水没扱いになるのですか?
はい。水没かどうかは動作の有無ではなく、内部に水分が入ったかどうかで判断します。今回のiPhone 16 Pro Maxも電源は入り操作もできましたが、分解すると水没判定シールは赤く反応し、内部に水滴が残っていました。動作している水没端末は、そのまま使い続けるうちに基板がショートして起動しなくなることがあります。
Q. 水没洗浄とは、どのような作業ですか?
端末を分解し、内部に入った水分と、水分が乾いて残った成分を専用の洗浄と乾燥で取り除く作業です。洗浄後に組み立てて各機能を確認し、洗浄だけで戻る部分と、部品の交換が必要な部分を切り分けます。今回はカメラユニットの内部まで水が入っていたため、洗浄後もカメラは起動せず、交換が必要と判断しました。
Q. 洗浄しても直らなかった場合、どうなりますか?
洗浄後の確認で戻らなかった機能について、原因となっている部品と交換した場合の費用をご説明し、ご了承いただいてから交換作業に入ります。今回はアウトカメラ(背面カメラ)本体の交換をご提案し、旅行中にカメラが使えないのは不便とのことで交換をお選びいただきました。
Q. アウトカメラを交換すると、Face IDや写真の画質に影響はありますか?
Face IDは前面側の部品で動作しているため、背面カメラの交換で影響を受けることはありません。交換後は広角・超広角・望遠の各レンズの切り替え、ピント、動画撮影を店頭で確認し、お客様にもその場で撮影してお確かめいただいてからお渡ししています。
Q. 旅行中で時間がありません。どのくらいで直りますか?
多くの修理は店頭でお待ちいただける時間で完了します。ただし水没の場合は、洗浄後の状態を確認してから交換の要否が決まるため、まず端末を拝見してから所要時間をお伝えしています。今回のK・G様は、洗浄からカメラ交換まで約1時間でお渡しし、旅行の日程内に戻られました。
Q. 日本語が話せなくても修理を依頼できますか?
はい。当サイトには英語をはじめ複数の言語の案内ページがあり、店頭でも翻訳ツールを併用しながら症状と費用をご説明しています。海外からお越しのお客様は、旅行の合間に立ち寄られる方が多く、今回のK・G様も検索で多言語ページを見つけてご来店されました。
Q. 水没したiPhoneの写真や連絡先を守るには、何をすればいいですか?
電源を切り、充電せず、温めたり振ったりせずに、そのままの状態で早くお持ちください。データは基板の上のストレージに保存されているため、基板がショートしなければそのまま残っています。今回も洗浄とカメラ交換だけで、初期化やバックアップからの復元をせずにデータはそのままお渡しできました。
Q. 交換したカメラに保証はありますか?
交換部品の保証は修理サービス規約の第8条に定めがあり、対象と期間はお渡し時にご説明します。水没や落下など、お客様側の要因による再故障は保証の対象外です。水没した端末は内部に水分が入った履歴があるため、この点を含めて事前にご説明したうえで作業に入ります。
用語の解説(水没判定シール・水没洗浄・アウトカメラ・結露・IP68)
- 水没判定シール(LCI):iPhoneの内部に貼られた、水分に触れると赤く変色する小さなシール。SIMトレイの奥や内部の数か所にあり、赤くなっていれば内部に水分が入った履歴があると判断できる。
- 水没洗浄:端末を分解し、内部に入った水分と、水分が乾いて残った成分を専用の洗浄と乾燥で取り除く作業。洗浄だけで戻る機能と、部品交換が必要な機能を切り分ける工程を含む。
- アウトカメラ(背面カメラユニット):iPhoneの背面にある撮影用のカメラ。iPhone 16 Pro Maxは広角・超広角・望遠の3つのレンズとセンサー、手ぶれ補正の機構が1つのユニットにまとまっている。
- 結露:冷えた端末が温かい場所に移ったときなど、温度差で空気中の水分が内部で水滴になる現象。雨や屋外の寒さで冷えた端末をポケットに入れると起きやすい。
- IP68(防沫・耐水・防塵性能):iPhone 16 Pro Maxが備える耐水・防塵の等級。真水・常温・静止水中での試験条件に基づく性能で、経年や落下で低下する。Appleも耐水性能は永続的なものではないとしている。
- ショート(短絡):本来つながらない回路同士が水分や腐食で導通し、過大な電流が流れる状態。ICの焼損や電源が入らない原因になり、基板上のデータにも影響が及ぶ。
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スマートドクタープロ(運営:株式会社クレア/法人番号 8120001165987)。総務省登録修理業者(電気通信事業法:T000002/電波法:R000002)・ISO 9001:2015認証。基板の電源IC・充電IC・漏電まで診断・修理できる技術力と、年間6万件以上の修理実績をもとに、編集部が作成し、代表・古賀潤一郎(大阪心斎橋本店)が監修しています。
登録修理業者電気通信事業法:T000002
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