修理事例・お客様の声

iPhone SE2 水没|基板の重要ICが取り外され復旧不可と判断した事例【大阪】

他社修理から1年後に持ち込まれた水没iPhone SE2。基板からCPU・NANDメモリの制御ICと4G LTEの電源ICが取り外されており、復旧不可と判断した事例|スマートドクタープロ大阪心斎橋
この事例の結論

水没したiPhone SE(第2世代)を他社へ修理に出したものの直らず、1年後に当店へお持ち込みいただいた端末です。ご依頼は「中のデータを取り戻したい」。診断したところ、基板からCPU・NANDメモリの制御IC4G LTEの電源IC取り外された状態でした。これらが無い基板は、修理も、健康な基板への載せ替えもできません。復旧不可と判断し、診断料をいただいてご返却した事例です。当店の事例のなかでは数少ない「直せなかった」記録として公開します。

先にお伝えしたいこと
  • 他店で「修理不可」と言われた端末の多くは、当店で診断すれば直せることがあります。今回はその例外にあたるケースです。
  • 分かれ目は「基板に部品が残っているかどうか」。部品が付いたままなら手はありますが、外されてしまうと打つ手がなくなります

ご相談の経緯──他社修理から1年、直らないまま持ち込まれた

もともとは水没でした。お客様は他社へ修理に出されましたが直らず、そのまま手元に置かれていたそうです。約1年が経ってから、当店にご相談いただきました。

Google検索で当店をお探しになり、ご来店いただいています。ご希望は端末そのものの復活ではなく、中に残っているデータを取り戻すことでした。写真や記録を諦めきれず、1年越しで動かれたということです。

この時点でお客様が把握されていたのは「水没して、他社に出したが直らなかった」ということだけです。基板がどういう状態で戻ってきたのかは、ご存じありませんでした。

診断──基板から3つの重要部品が失われていた

基板を取り出して顕微鏡で確認したところ、部品が取り外された跡が複数ありました。

iPhone SE2の基板。CPU・NANDメモリの制御ICが取り外され、はんだのパッド跡だけが残っている(赤丸)
赤丸の位置に、本来はCPU・NANDメモリの制御ICが載っています。部品が無く、はんだのパッド跡だけが残った状態でした。

格子状に並んだ小さな丸は、ICの足がはんだ付けされていた跡(パッド)です。部品そのものが存在しません。

iPhone SE2の基板。4G LTEの電源ICが取り外された跡(赤丸)
こちらの赤丸は4G LTEの電源ICがあった位置。同じく、部品が取り外されています。

失われていたのは、CPU・NANDメモリの制御IC4G LTEの電源IC。いずれも、無ければ端末が成立しない部品です。

なぜ「部品が無い」と修理できないのか

基板修理は、壊れた部品を特定して交換したり、動く状態に戻したりする作業です。前提として、直す対象がそこにある必要があります。

とくにCPU・NANDメモリまわりの制御ICは、データの読み出しに関わる中枢です。iPhoneのデータは暗号化されており、CPUと関連するIC群が揃って初めて元通り扱えます。この一部が失われた基板は、そもそも起動させる道筋が断たれています

「健康な基板への載せ替え」もできない理由

重度の基板故障では、健康なドナー基板へCPU・NANDメモリ・関連IC群をまとめて移植するという手段があります。当店が実際に行っている、最後の切り札にあたる作業です。

しかしこの方法は、移植する部品が元の基板に残っていることが絶対条件です。移すべき部品が無ければ、移植は成り立ちません。

今回の端末は、修理も載せ替えも、どちらの道も閉じていました。診断で分かるのはここまでで、これ以上できることがありません。

結果──復旧不可と判断し、ご返却しました

お客様に基板の状態を写真でご覧いただき、復旧できないこと、その理由をご説明しました。診断料をいただき、端末をお返ししています。

できないものをできると言わない。それが診断を有償で行っている理由でもあります。当店の基板診断は有償(¥7,700・税込)で、結果がどうであれ、分かったことを正直にお伝えします。

当店の修理現場から

現場の一言
  • 部品が取り外された状態の端末は、月に10件ほど持ち込まれます。珍しいことではありません。
  • お客様のほとんどは、ご自身の端末がその状態になっていることをご存じありません。返却時に基板の中身まで確認する方は、まずいらっしゃらないためです。
  • 時間が経つほど選択肢は減ります。今回は水没から1年でしたが、部品が残っていれば1年後でも手はありました。閉ざしたのは時間ではなく、部品が無いことでした。
  • 当店は総務省登録修理業者(R000002/T000002)として、またISO 9001:2015認証のもと、2009年から心斎橋の店舗で修理を行っています。基板修理・データ復旧はすべて自社ラボ内で完結します。

修理に出す前・受け取るときに、できること

出す前に
  • 「直らなかった場合、基板はどういう状態で返ってきますか」と聞いておく。
  • データが目的なら、基板修理に対応している店かどうかを先に確認する。
受け取るときに
  • 直らなかった端末は、その時点でセカンドオピニオンに回す。手元で寝かせるほど選択肢は減ります。
  • 可能なら基板の写真を見せてもらう。部品が残っているかどうかは、写真で分かります。

よくあるご質問(他社修理後・部品欠落・復旧可否)

Q. 他店で直らなかった端末でも、診てもらえますか?

はい。むしろ他店で対応できなかった端末のご相談は多く、その多くは当店の基板修理で対応できています。今回はその例外で、部品そのものが失われていたケースです。まず有償の診断で状態を確認します。

Q. 基板から部品が外されていると、なぜ直せないのですか?

基板修理は、そこにある部品を直したり交換したりする作業だからです。とくにCPU・NANDメモリの制御ICはデータの読み出しに関わる中枢で、これが無いと起動させる道筋そのものが断たれます。

Q. 健康な基板に載せ替えれば直るのではないですか?

載せ替えは、元の基板からCPU・NANDメモリ・関連IC群を取り出して移植する作業です。移すべき部品が元の基板に残っていることが絶対条件で、失われている場合は成立しません。

Q. 自分の端末がその状態か、どうすれば分かりますか?

外からは分かりません。基板を取り出して顕微鏡で確認する必要があります。他店で直らずに戻ってきた端末をお持ちであれば、診断で状態をお伝えできます。

Q. 直らなかった場合も診断料はかかりますか?

かかります。基板診断は有償で、¥7,700・税込です。診断は「直るかどうかを調べる作業」であり、結果が復旧不可であっても、その理由をご説明したうえでご返却します。本事例もそのケースです。

Q. 水没から1年経っています。もう手遅れですか?

時間が経つほど腐食は進みますが、部品が残っていれば手が残る場合があります。本事例で道が閉じたのは時間ではなく、部品が失われていたことによるものです。まずは状態を確認させてください。

Q. 修理に出す前に、確認しておくべきことはありますか?

「直らなかった場合、基板はどういう状態で返ってきますか」と聞いておくことをおすすめします。データが目的であれば、基板修理に対応している店かどうかを先に確認しておくと選択肢が残ります。

Q. 直らなかった端末を手元に置いたままです。今からでも間に合いますか?

状態によります。部品が残っていれば、時間が経っていても対応できる場合があります。判断するには基板を確認する必要がありますので、有償の診断でお調べします。

用語の解説(制御IC・電源IC・パッド・載せ替え)
  • CPU・NANDメモリの制御IC:CPUとストレージのやり取りを担うチップ。データの読み出しに関わるため、欠けると起動もデータ取り出しもできなくなる。
  • 4G LTEの電源IC:通信部への電力供給を担うチップ。無ければ通信機能が成立しない。
  • パッド:ICの足がはんだ付けされる、基板側の接点。部品が外されると、この跡だけが残る。
  • 基板載せ替え:健康なドナー基板へCPU・NANDメモリ・IC群を移植する手法。移す部品が残っていることが前提。
  • ドナー基板:部品移植の受け皿となる健康な基板。
  • マイクロソルダリング:顕微鏡下で行うIC単位のはんだ作業。部品交換とは必要な設備も技術も異なる。

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この記事の監修
執筆:スマートドクタープロ編集部監修:古賀潤一郎(代表)

スマートドクタープロ(運営:株式会社クレア/法人番号 8120001165987)。総務省登録修理業者(電気通信事業法:T000002/電波法:R000002)・ISO 9001:2015認証。基板の電源IC・充電IC・漏電まで診断・修理できる技術力と、年間6万件以上の修理実績をもとに、編集部が作成し、代表・古賀潤一郎(大阪心斎橋本店)が監修しています。

総務省
登録修理業者
電気通信事業法:T000002
電波法:R000002
ISO 9001:2015
年間修理実績
6万件以上
(年間)
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