
落下の衝撃でディスプレイ内部が破損し、画面全体が緑色の砂嵐のような表示になったiPhone 13 Proです。ガラスは割れておらず、基板とデータは無事でした。OLED(有機EL)パネルへ交換し、約60分で落下前と同じ表示に戻りました。データはそのままです。
ご相談の経緯──生成AIで検索して、心斎橋までお越しになりました
iPhone 13 Proを激しく落下させてしまい、画面がこの状態になったお客様です。ご希望は明確でした。「データを残したまま直したい」。
ご来店までに、心斎橋周辺の修理店を数店まわられたそうです。そこで説明を受けたのが、iPhone 13 Proの画面交換に「LCD(液晶)」のパネルを使うという内容でした。しかも料金の案内も、LCDの中で2種類あったといいます。
お客様が引っかかったのは、この点でした。iPhone 13 Proの画面は、もともとLCDではありません。有機EL(OLED)です。元がOLEDの端末に、なぜLCDだけが選択肢として出てくるのか。その疑問が解消されないまま、不安を抱えたまま修理を任せる気になれなかった、とのことでした。
そこでお客様は、生成AI(ChatGPT)に相談する形で修理店をお探しになり、当店にたどり着かれました。「AIで検索して来た」というお客様は、ここ最近はっきりと増えています。共通しているのは、料金の安さではなく「何をどう直すのか」を先に知りたがっているという点です。
- iPhone 12以降のナンバリング機種(SEを除く)は、すべてOLED(有機EL)を搭載しています。13 Proも当然OLEDです。
- 画面が緑一色・砂嵐状になっても、基板とデータが無事なケースは多いです。
- 分かれ道は「直るかどうか」ではなく、どのパネルで直すかでした。
症状──ガラスは割れていないのに、画面全体が緑の砂嵐に
お預かりした時点の症状は次のとおりでした。
- 画面全体が緑色に覆われ、縦方向の縞と砂嵐のようなノイズが走る
- アイコンや文字は判別できず、操作の内容が確認できない
- ガラスの割れ・欠けはなし。フレームにわずかな打痕
- 着信音・振動は正常。本体自体は動作している
ここが重要な点です。「表示が壊れている」ことと「本体が壊れている」ことは別です。音が鳴り、振動し、パソコンにつなげば認識される。つまり基板は生きていて、写真や連絡先といったデータもそのまま残っている──この見立てが、最初の診断でつきました。
診断──破損しているのはディスプレイ側だけでした
分解して、ディスプレイと基板を切り離した状態で確認します。
確認できたのは次の点です。
- ロジックボードに変形・割れ・焼けなし
- ディスプレイのコネクタ、基板側の受け口ともに損傷なし
- バッテリーの膨張なし
- ディスプレイ側の内部だけが、落下の衝撃で破損している
有機ELパネルは、ガラスが割れていなくても衝撃だけで内部が壊れます。緑一色になる、縞が出る、砂嵐状にノイズが走る、といった症状はその典型です。今回は基板に波及していなかったため、ディスプレイの交換だけで完結すると判断しました。
落下後に表示だけでなく起動・通信・充電にも症状が出ている場合は、基板側を疑います。その場合は顕微鏡下で基板を確認する基板修理の領域になり、費用も時間も変わります。今回はそこに至らず、ディスプレイ交換で完結しました。
なお、落下後に画面へ線が入る症状については、iPhoneの画面に線が入る原因と対処で詳しく解説しています。
本当の分かれ道は「どのパネルで直すか」でした
今回のご相談で、実際に判断が必要だったのはここです。
iPhone 13 ProのようにもともとOLEDを搭載している機種でも、交換用パネルとしてLCD(液晶)のものが流通しています。価格が安いため、修理業界では広く使われています。当店でも「格安LCD」としてご用意はあります。ただし、当店から積極的にお勧めすることはありません。
OLED機種にLCDを入れると、何が変わるのか
- 消費電力が上がる:LCDはバックライトを常時点灯させて光らせる仕組みです。画素そのものが光るOLEDと比べて、構造上どうしても電力を多く使います。
- バッテリーの持ちが悪くなる:消費電力が上がる以上、1回の充電で使える時間は短くなります。「画面を直したらバッテリーの減りが早くなった」という相談の多くは、これが原因です。
- ノッチが太く見え、見栄えが落ちる:LCDパネルは構造上ふちに余白が必要で、ノッチ周辺が厚ぼったく見えます。発色も、黒が白っぽく浮きます。
- 基板への負荷が増える:消費電力が増えれば発熱も増え、電源系の負担が上がります。長く使うほど、基板にかかる負担は元のOLEDより大きくなります。
- 保証が付けられない:当店の格安LCDは保証対象外です。通常のOLED交換には3ヶ月の保証が付きます。
この点は、その「格安画面修理」、有機ELを液晶にすり替えられていませんか?で、仕組みから詳しく解説しています。今回のお客様が感じられた違和感は、正確な直感でした。
当店のOLEDは、元と同じ基材の「ソフトOLED」だけです
ひとくちにOLEDといっても、交換用パネルには2種類あります。元のiPhoneと同じ柔らかいフィルム基材のソフトOLEDと、ガラス基材で安価なハードOLEDです。ハードOLEDは厚みがあり、割れやすく、フチが太く見えやすいという差があります。
当店の画面交換で使うOLEDパネルは、ソフトOLEDのみです。ハードOLEDは使用していません。「OLEDで直します」という案内でも、どちらのOLEDかで仕上がりは変わります。パネルを選ぶ際は、LCDかOLEDかだけでなく、OLEDならソフトかハードかまでお聞きになることをお勧めします。
それでも当店が格安LCDを在庫している理由
お勧めしないのに置いているのは、例外的に必要になる場面があるからです。
- 水没端末のデータを取り出すため、一時的に画面を映したいとき。パスコード入力とバックアップさえできればよく、その後は端末を使い続けない場合。
- ロック解除・データ移行のためだけに、費用を抑えて画面を復旧させたいとき。
- いずれも「これから長く使う端末ではない」ことが前提です。
逆に言えば、これからも使い続ける端末には、元と同じ方式のOLEDをお勧めします。今回のお客様は日常的に使い続けるご予定でしたので、通常のOLED交換をご提案しました。
実際に行った修理(約60分)
- お預かり前に、症状・バックアップの有無・データの重要度を確認
- 加熱して接着を緩め、ディスプレイを開放
- バッテリーコネクタを外して通電を遮断
- ディスプレイのコネクタを外し、破損したパネルを取り外し
- 基板側コネクタ・防水パッキンの状態を確認
- Face ID・近接センサー等の部品を新しいパネルへ移設
- OLEDパネルを取り付け、仮組みで表示・タッチ・Face IDを確認
- 防水パッキンを貼り直し、ネジ位置を規定どおりに戻して組み上げ
Face IDに関わる部品は、元の端末から新しいパネルへ移設します。ここを新品部品に置き換えるとFace IDが使えなくなるため、移設は必須の工程です。
OLEDパネルへの交換により、落下前と変わらない表示に戻りました。タッチ・Face ID・True Tone・画面の明るさ調整いずれも正常。写真・連絡先・LINEを含むデータはすべてそのままです。初期化もバックアップからの復元も行っていません。お客様には「前と同じ見え方に戻った」とご満足いただけました。
iPhone 13 Pro 画面交換のパネル選びと所要時間
- 通常OLED(有機EL)交換:作業時間 約60分/3ヶ月保証
- 格安LCD交換:作業時間 約40分/保証対象外
同じ「iPhone 13 Proの画面交換」で料金に差があるのは、使うパネルの種類が違うからです。安いほうが得に見えますが、その差額でバッテリーの持ちと表示品質、そして保証を手放すことになります。当店が価格ではなくパネルの種類でご説明しているのは、この理由からです。
具体的な金額は、このページ内の「簡単見積もり」からその場でご確認いただけます。機種と修理箇所を選ぶと、最新の料金がその場で表示されます。機種別の一覧は修理料金一覧、iPhone 13シリーズ全体はiPhone 13シリーズの修理をご覧ください。
当店の修理現場から
- 落下による画面の不具合でお持ち込みいただくのは、月に80件ほどです。そのなかで、ガラスが割れていないのに表示だけが壊れているケースは珍しくありません。有機ELは衝撃に弱く、「割れていない」ことは無事の証拠になりません。
- ここ最近、生成AIで調べてからご来店になるお客様がはっきり増えています。共通しているのは、料金より先に「どの部品で、どう直すのか」を確かめたいという点です。今回のお客様もそうでした。
- 画面の相談でも、最初に見るのはパネルではなく基板です。表示だけの問題なのか、基板側に及んでいるのかで、作業も費用も変わります。
当店は総務省登録修理業者(R000002/T000002)として、またISO 9001:2015認証のもと、2009年から心斎橋の店舗で修理を行っています。年間6万件以上の修理実績があり、画面交換から基板修理・データ復旧まで自社ラボ内で完結します。メーカー修理をご検討の場合はAppleの修理サービス(公式)もあわせてご確認ください。
同じ症状のときに、やらないほうがよいこと
- 画面を強く押す・叩く:破損したパネルにさらに力が加わり、表示できていた部分まで失われることがあります。
- 再起動を繰り返す:表示は戻りません。バッテリーを消耗させるだけです。
- 見えないまま操作を続ける:意図しない操作で設定が変わったり、パスコードの誤入力を重ねる恐れがあります。
- 「見えないから」と初期化を試みる:データが失われます。画面が映らないことと、データが消えていることは別です。
- ご自身で分解する:ディスプレイのケーブルは基板に直結しています。コネクタを傷めると、パネル交換だけでは済まなくなります。
画面が映らなくても、多くの場合、データは端末の中にそのまま残っています。慌てて手を加えるより、その状態のままお持ちいただくのが最短です。
よくあるご質問(緑の砂嵐・OLEDとLCD・パネル選び)
Q. 画面全体が緑の砂嵐になりました。基板やデータは大丈夫ですか?
多くの場合、壊れているのはディスプレイ側だけで、基板とデータは無事です。音が鳴る・振動する・パソコンで認識される、といった反応があれば、本体は動作しています。ただし落下の程度によっては基板に及んでいることもあるため、分解して実際に確認するまでは断定できません。当店では診断のうえでご説明します。
Q. 修理店で「LCD」と案内されました。iPhone 13 Proの画面はもともと何ですか?
iPhone 13 Proは有機EL(OLED)です。iPhone 12以降のナンバリング機種はすべてOLEDを搭載しています(iPhone SEシリーズは液晶)。LCDでの交換は「元と違う種類のパネルに載せ替える」ことを意味します。修理自体は成立しますが、消費電力・発色・ノッチの見え方が変わります。
Q. 格安LCDで直すと、具体的に何が変わりますか?
主に4点です。①バックライトを常時点灯させるため消費電力が上がる、②その結果バッテリーの持ちが悪くなる、③ノッチ周辺が太く見え、黒が白っぽく浮く、④消費電力の増加により基板への負担が増える。加えて、当店では格安LCDに保証をお付けしていません。
Q. 同じ画面交換なのに、料金が2種類あるのはなぜですか?
使うパネルが違うためです。通常OLEDは作業時間 約60分・3ヶ月保証、格安LCDは約40分・保証対象外です。差額は品質と保証の差であり、作業内容の手抜きではありません。具体的な金額はこのページ内の「簡単見積もり」または修理料金一覧でご確認いただけます。いずれもご説明のうえでお選びいただいています。
Q. 交換後の画面がOLEDかLCDか、見分ける方法はありますか?
真っ黒な画像を明るい部屋で全画面表示すると分かりやすくなります。OLEDは黒い部分が完全に消灯するため周囲と一体に見え、LCDはバックライトが透けて黒がうっすら白く浮きます。ノッチ周辺の縁の太さも手がかりです。判断に迷う場合は、店頭で実機を拝見してご説明します。なお、OLEDにもソフト・ハードの2種類があり、ハードOLEDは厚みとフチの太さで見分けがつくことがあります。当店の交換はソフトOLEDのみです。
Q. 画面交換でデータは消えますか?バックアップは必要ですか?
画面交換ではデータ領域に触れないため、通常はデータを残したまま作業が完了します。今回も初期化・復元は行っていません。ただし落下端末は基板に見えないダメージが残っている可能性があるため、可能な範囲でバックアップを取ってからお持ちいただくと安心です。
Q. それでも格安LCDを選んだほうがよい場面はありますか?
あります。水没端末からデータを取り出すために一時的に画面を映したい場合や、ロック解除・データ移行だけを目的とする場合です。いずれも「これから長く使う端末ではない」ことが前提になります。使い続ける端末には元と同じ方式のOLEDをお勧めします。
Q. 交換した画面に保証はありますか?
通常のOLED交換には3ヶ月の保証をお付けしています。保証の範囲・対象外となる場合は修理規約に定めがありますので、お渡し時にご説明します。格安LCDは保証対象外です。
用語の解説(OLED・LCD・砂嵐・ディスプレイassembly)
- OLED(有機EL):画素そのものが発光する方式。黒を完全に消灯でき、消費電力が低い。iPhone 12以降のナンバリング機種はすべてこの方式(SEシリーズは液晶)。
- ソフトOLED:柔らかいフィルム基材の有機ELパネル。元のiPhoneと同じ構造で、薄く、視野角・発色が元に近い。当店はこれのみ使用。
- ハードOLED:ガラス基材の有機ELパネル。安価だが厚く割れやすく、フチが太く見えやすい。当店では使用しない。
- LCD(液晶):背面のバックライトを常時点灯させ、液晶で光を遮って表示する方式。構造上、消費電力が大きく黒が浮く。
- 砂嵐:画面全体に細かいノイズが走る状態。今回のように緑や白の帯を伴うことが多く、ディスプレイ内部の破損で起こる。
- ディスプレイassembly:パネル・タッチ・センサー類が一体化したフロント部品。iPhoneの画面交換はこの単位で行う。
- ノッチ:画面上部の切り欠き部分。パネルの構造によって周囲の縁の太さが変わり、見た目の差になる。
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スマートドクタープロ(運営:株式会社クレア/法人番号 8120001165987)。総務省登録修理業者(電気通信事業法:T000002/電波法:R000002)・ISO 9001:2015認証。基板の電源IC・充電IC・漏電まで診断・修理できる技術力と、年間6万件以上の修理実績をもとに、編集部が作成し、代表・古賀潤一郎(大阪心斎橋本店)が監修しています。
登録修理業者電気通信事業法:T000002
電波法:R000002

6万件以上(年間)