
ゲリラ豪雨で水没し、煙が出て焦げた匂いがしたGalaxy Z Fold7です。先に別の修理店へ出されましたが直らず、当店にお持ち込みになりました。検査の結果、先の修理でシールドが取り外された跡と、その周辺の基板表面のめくれ・複数のチップの脱落を確認。当店はこれを、取り外し作業で生じた破損であり、人為的に故意に破損させたような痕跡と判断しました。加えて基板の広い範囲でチップがショートし、交換が必要なチップは多数ありました。時間と費用はかかりましたが、基板を修理してデータを残したままお返しできました。
ご相談の経緯──AI(Gemini)で検索して、奈良からお越しになりました
奈良県からお越しのK・S様です。外出中にゲリラ豪雨に遭い、Galaxy Z Fold7が水没。その直後に本体から煙が出て、焦げた匂いがしたとのことでした。
お客様はまず、別の修理店へ端末を出されました。ところが修理は完了せず、お客様の言葉を借りれば「直らないどころか、逆に壊されて戻ってきた」とのこと。そこからAI(Gemini)に相談する形で修理店を探され、当店にたどり着かれました。
ご希望はひとつでした。「中のデータを取り戻したい」。
- 水没直後の煙・焦げた匂いは、基板上でショートが起きた合図です。
- 先の修理でシールドが取り外され、周辺に基板表面のめくれと複数のチップの脱落がありました。当店はこれを、水没とは別に、人為的に故意に破損させたような痕跡と判断しました。
- 他社修理後の端末は、通常の水没修理より時間も費用もかかります。それでも、データは戻せました。
症状──水没直後に煙、その後は電源が入らない
水没のご相談で「煙が出た」「焦げた匂いがした」と伺うことは、実はそれほど珍しくありません。バッテリーが生きたまま内部に水が入ると、本来つながっていない配線どうしが水を介してつながり、大きな電流が流れます。これがショートです。電流が集中した部品は一瞬で高温になり、煙と匂いが出ます。
今回の検査では、基板上でショートして焼損したチップが複数見つかっています。煙が出た端末は「乾かせば直る」段階を過ぎていることが多く、通電を重ねるほど焼ける範囲が広がります。
診断──先の修理の痕跡と、広範囲のショート
分解して基板を取り出し、顕微鏡下で確認しました。お客様にお伝えした診断結果は、次のとおりです。
お持ち込みいただいたGalaxy Z Fold7の端末ですが、検査の結果、以前の修理店ですでに基板の修理が行われており、さらに人為的に故意に破損させたような痕跡も確認されました。基板上の広範囲でチップのショートが確認されており、交換が必要なチップも多数ございます。
当店が確認した状態と、それに対する判断は次のとおりです。
- 確認した状態①:先の修理でシールドが取り外されていた(はんだの跡・カバーは元に戻されていない)
- 確認した状態②:その周辺に基板表面のめくれ(2か所)と、複数のチップの脱落があった
- 確認した状態③:基板上の広い範囲でチップがショートし、焼損したチップが複数あった
- 当店の判断:①②は水没による損傷とは別に、シールドを取り外す作業で生じた破損であり、人為的に故意に破損させたような痕跡。③は水没によるショート。直す対象はこの両方
ここが、今回の修理が「通常の水没修理」と違う点です。水没だけなら、腐食を除去して焼けた部品を替えれば済むことが多い。今回はそこに、取り外し作業で生じた破損が重なっていました。直す対象が、水没の分と、その後に増えた分の二重になりました。
なぜ「他社修理後」の端末は、時間も費用もかかるのか
当店には、他社で「修理不可」とされた端末が月に20件、多い月には40件以上、郵送とご来店で届きます。その経験からお伝えできることがあります。
当店にお預かりする他社修理後の端末には、元の故障に加えて、修理作業で生じた損傷を抱えているものが少なくありません。今回もその一つでした。基板の修理は、顕微鏡下で0.数ミリの部品を扱う作業です。設備と経験がそろっていない状態で手を入れると、元の故障とは別の箇所が傷みます。
そうなると、当店で行う作業は次のようになります。
- 元の故障(今回は水没・ショート)の診断
- 先の修理で何が行われ、何が変わったかの特定
- その修理で生じた損傷の診断
- 上のすべてを、データを残せるところまで直す
工程が増える分、データを復旧できるところまで直しても、費用は高額になります。時間もかかります。今回のK・S様にも、診断の段階でこの見通しをご説明し、ご納得のうえで作業に入りました。
それでも「データを戻せるところまで直す」ことはできます。今回のように脱落したのが交換で補えるチップであれば、部品を載せ直して復旧できます。一方、CPUやメモリなど、データそのものを保持する部品が失われている場合や、基板の配線が広く断裂している場合は、基板が残っていても当店で手が出せないことがあります。その線引きは、診断の段階でお伝えします。
修理内容──ショートしたチップを一つずつ交換
- お預かり前に、データの重要度と、時間・費用の見通しを確認
- 基板を取り出し、超音波洗浄で残渣を除去
- 顕微鏡下で、ショートしているチップを一つずつ特定
- 先の修理で生じた破損箇所(基板表面のめくれ・チップの脱落)を特定し、補修
- ショートしたチップを順に取り外し、新しいチップに交換
- 交換のたびに通電テストを行い、次のショート箇所を追う
- すべてのショートが解消した段階で、起動を確認
- データにアクセスできることを確認し、組み上げ
ショートが広範囲に及んでいる場合、一度に全部を替えることはできません。一つ替えて通電し、次に電流が流れる箇所を探し、また替える。この繰り返しです。時間がかかる理由はここにあります。
今回は交換が必要なICの一部が入荷待ちとなり、お預かりから返却まで約1週間でした。作業そのものの時間に加えて、部品の手配期間が加わっています。
基板のショートをすべて解消し、起動してデータのバックアップが取れる状態でお返ししました。お預かりから返却まで約1週間(ICの入荷待ちを含む)。写真・連絡先・アプリのデータは、そのまま端末の中に残った状態です。基板修理は修理規約上、保証対象外の作業です(お渡し時にご説明しています)。時間と費用はかかりましたが、K・S様には「諦めていたデータが戻った」と喜んでいただけました。
Galaxy・折りたたみスマホの水没修理について
Galaxy Z Fold7のような折りたたみ機種は、ヒンジ部分の構造上、雨が内部に入りやすい面があります。当店ではGalaxyをはじめ、折りたたみ機種を含むAndroid端末の基板修理に対応しています。
ご相談の際は、メーカー名と型番(例:Galaxy Z Fold7/SM-F966)、そしてこれまでに他社で修理を受けたかどうかをお知らせください。他社修理の有無で、診断の進め方が変わります。
診断は有償です。診断料はこのページ内の「簡単見積もり」からご確認いただけます。基板修理の費用は、診断のうえで損傷の範囲を確認してからお見積りします。
当店の修理現場から
- 脱落したチップを載せ直せるか、データを保持する部品が無事かで、復旧の可否は分かれます。判断は必ず基板を見てからです。
- シールドの取り外しは修理工程でも行う作業です。当店が「作業で生じた破損」と判断するのは、その周辺にめくれや部品の脱落があり、水没では説明がつかない場合です。今回がそれでした。
- 他社に出したあとの端末は、先の修理で何が行われたかの記録があると診断が早く進みます。受け取り時の説明は、保管しておいてください。
当店は総務省登録修理業者(R000002/T000002)として、またISO 9001:2015認証のもと、2009年から心斎橋の店舗で修理を行っています。年間6万件以上の修理実績があり、基板修理・データ復旧はすべて自社ラボ内で完結します。メーカーでの修理をご検討の場合はSamsungサポート(公式)もあわせてご確認ください。
他社に出す前に、確認しておいてほしいこと
- 電源を入れない:煙が出た端末は、通電するたびにショートが広がります。
- 「直らなかった場合、基板はどういう状態で返ってくるか」を聞く:この一言で、修理店の姿勢が分かります。
- データを残す前提かどうかを確認する:初期化や基板交換を前提にした修理では、データは戻りません。
- 受け取るときに、何をしたかの説明を求める:開けたのか、何を替えたのか。次に出す店で必要になります。
一度手が入った端末でも、損傷の状態によっては道があります。ただし手が入るたびに、その道は狭くなります。迷ったら、最初の一手を当店にご相談ください。
よくあるご質問(水没で煙・他社修理後・データ復旧)
Q. 水没して煙が出ました。もう直りませんか?
煙が出た場合、基板上でショートが起きた可能性が高く、今回も検査で焼損したチップが複数見つかりました。ただし「直らない」とは限りません。焼けた部品を特定して交換すれば、起動まで戻せることがあります。大事なのは、それ以上電源を入れないことです。通電のたびに焼ける範囲が広がります。
Q. 他社で修理して直らなかった端末でも診てもらえますか?
診ます。月に20件から40件以上、そうした端末をお預かりしています。ただし、先の修理で何が行われたかを特定する工程が加わるため、通常の修理より診断に時間がかかります。他社修理の有無は、最初にお知らせください。
Q. 他社修理後の端末は、なぜ費用と時間がかかるのですか?
直す対象が二重になるためです。元の故障(水没・ショート)に加えて、先の修理で生じた破損も直さなければなりません。今回のように基板の広い範囲でショートしている場合は、チップを一つ替えては通電し、次の箇所を探す作業の繰り返しになります。データを復旧できるところまで直しても、費用は高額になり、時間もかかります。
Q. 「修理不可」と言われた端末のデータだけ取り出すことはできますか?
データは基板上のメモリに保存されているため、基板を起動できる状態まで直すことが、データを取り出すことと同じです。端末として使い続けるかどうかにかかわらず、作業内容は基板修理になります。今回のように脱落したチップが交換で補えるものなら、載せ直して復旧できます。一方、CPUやメモリなどデータを保持する部品が失われている場合は、基板が残っていても復旧できないことがあります。
Q. Galaxy Z Fold7のような折りたたみ機種でも基板修理できますか?
できます。折りたたみ機種はヒンジ部分から雨が入りやすく、水没のご相談は珍しくありません。基板の構造は通常のスマートフォンと同じ考え方で診断できます。発売から間もない機種でも対応しています。
Q. 遠方からでも依頼できますか?
できます。今回のK・S様は奈良県からご来店でしたが、全国から郵送でもお受けしています。発煙・異臭・異常な発熱があった端末は、使用・充電を中止してください。発送前に当店へ症状をお知らせいただき、配送会社の取扱条件(故障したバッテリーを内蔵する機器は取り扱えない場合があります)も確認してください。詳しくは郵送修理のご案内をご覧ください。
Q. 他社に出す前に、確認しておくべきことはありますか?
「直らなかった場合、基板はどういう状態で返ってくるか」を聞いてください。データを残す前提かどうか、開けたら何をしたか説明してもらえるか。この確認で、次に別の店へ出すときの道が残るかどうかが変わります。
Q. 修理費用の目安はどこで確認できますか?
診断料はこのページ内の「簡単見積もり」からご確認いただけます。基板修理そのものの費用は、損傷の範囲によって変わるため、診断のうえでお見積りします。他社修理後の端末は工程が増えるため、その見通しも診断の段階でお伝えします。
用語の解説(ショート・チップ・シールド・超音波洗浄・SM-F966)
- ショート(短絡):本来つながっていない配線どうしが、水などを介してつながること。大電流が流れ、部品が焼ける。煙や焦げた匂いの原因。
- チップ:基板上に載る小さな電子部品の総称。電源制御・通信・充電など、機能ごとに専用のチップがある。
- シールド:基板上のチップを覆う金属のカバー。修理で外す必要があり、外した痕跡は残る。
- 超音波洗浄:洗浄液の中で超音波を当て、基板に残った残渣を落とす工程。
- SM-F966:Galaxy Z Fold7の型番。修理のご相談時に伝えていただくと話が早い。
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スマートドクタープロ(運営:株式会社クレア/法人番号 8120001165987)。総務省登録修理業者(電気通信事業法:T000002/電波法:R000002)・ISO 9001:2015認証。基板の電源IC・充電IC・漏電まで診断・修理できる技術力と、年間6万件以上の修理実績をもとに、編集部が作成し、代表・古賀潤一郎(大阪心斎橋本店)が監修しています。
登録修理業者電気通信事業法:T000002
電波法:R000002

6万件以上(年間)