故障原因を知る

IP68でも水没は保証されない|IP等級は「性質」ではなく試験条件の表示【規格と保証規定で読む】

IP68でも水没は保証されない|IP等級は「性質」ではなく試験条件の表示【規格と保証規定で読む】

この記事の結論

IP68・IP6Xは、端末に備わった恒常的な「性質」ではなく、決められた試験条件のもとで確認された保護性能の「表示」です。IP68の「6」は防塵、「8」は水中への浸漬に関する等級です。浸漬試験は真水・静置・所定の深さと時間で行われ、噴流や温水での使用可否は、IP68の表示だけでは判断できません。塩分・経年・落下も条件に含まれません。そして主要メーカーの保証規定は、これとは別に、水濡れ故障を対象外にしています。数字ではなく、試験条件と保証条件をそれぞれ読んでください。

当店は、水没した端末の基板修理を日常的に行っています。IP68表示の端末も含まれます。「IP68だから防水」「6メートルまで大丈夫」——この読み方で水に持ち込まれ、他店で修理不能とされた端末が、実際に当店の作業台に載ります。iPhoneに限りません。Xperia、Galaxy、Pixel、AQUOS——IP等級を表示して売られているスマートフォンに共通する構造です。メーカーは嘘をついていません。仕様と保証規定の両方に書いてあります。読む場所が違うだけです。

この記事で分かること

  • IPコードが「何を」「どんな条件で」確認した表示なのか
  • 主要メーカー・キャリアが水濡れをどう扱っているか(保証規定の原文に基づく)
  • 試験条件の外側にある、日常のほとんどの水場
  • 性能表示と法律の関係、そして修理後の耐水性能について当店が言わないこと
  • 保証されなかったときに残る選択肢

1. IPコードとは何か——2026年1月、規格番号が変わった

スマートフォンの「防水・防塵」表示に使われるIPコードは、国際規格 IEC 60529 で定められた、外郭による固形物・水の侵入に対する保護等級の表示方法です。日本では長く JIS C 0920 が対応規格でしたが、2026年1月、2003年制定の旧規格から約23年ぶりに改正され、国際規格と番号を揃えた JIS C 60529 に切り替わりました。高温・高圧の水噴流に対する等級「IPX9」が新設されています。日本規格協会はこの改正の効果として、生産者と消費者の相互理解が深まることを挙げています。

IPコードは2桁で読みます。

意味 例:iPhone 17(IP68)
1桁目(0〜6) 固形物・粉じんの侵入に対する保護 6=耐じん(粉じんが侵入しない)
2桁目(0〜9) 水の浸入に対する保護 8=継続的潜水(条件は製品規格または取り決めによる)

重要なのは、数字が「性能の大きさ」ではなく「どの試験を、どの条件で通過したか」を指す識別子だという点です。「8だから7より強い」という一次元の読み方はできません。7と8は同じ系統(潜水)ですが、5・6(噴流)とは別の試験です。

出典:日本規格協会 プレスリリース「23年ぶりにIPコードのJISを刷新」


2. 主要メーカー・キャリアは、水濡れ故障をどう扱っているか

各社の保証規定・取扱説明書・サポート文書を原文で確認した範囲を整理します。主要メーカーのメーカー保証(自然故障向けの無料修理保証)で、水濡れ・液体損傷を対象に含める例は確認できませんでした。有償の補償サービスは別枠です。

事業者 公式文書の記載(要約)
Apple 表記は「防沫・耐水・防塵」で、「防水」とは書いていない。IP68は実験室の管理された条件下でのテストによる等級で、性能は永続せず通常使用で低下しうる。液体による損傷はApple製品1年限定保証の対象外(消費者法上の権利は別途留保)。
ソニー(Xperia) IPX5/IPX8・IP6Xを表示。取り扱いの不備による故障と判明した場合は保証対象外。水に濡れた後は本体を振ってスピーカー・端子等の残留水を抜く手順を案内。
Samsung(Galaxy 日本) 日本向け修理規定で、液体こぼれ・水没等による故障・損傷は「ご使用上の誤り」として有料修理に分類。
Google(Pixel 日本) 日本向け限定保証で、液体損傷がある場合は限定保証の適用を除外。
シャープ(AQUOS) 無料修理規定で、落下・水濡れ等による故障・損傷は保証期間中でも有料(確認機種:AQUOS wish5 SIMフリー)。
ソフトバンク/ドコモ/au ソフトバンクの故障保証サービスでは水濡れ・全損は適用対象外で、別枠の「水濡れ・全損保証サービス」(自己負担あり)で扱う。ドコモは故障サポートの入口で「一部破損」と「水濡れ・全損」を最初から別カテゴリに分ける。auは自然故障の保証延長と、水濡れ・全損の有償サービスを区分。
東京都消費生活総合センター(2018年) 相談FAQ「買ったばかりのスマートフォンが故障。水濡れが原因と言われたが納得できない」を掲載。水濡れ判定シールで水濡れと判断され、保証期間内でも有償修理になる例と、防水であっても使い方によっては水濡れになることを解説。掲載は2018年——iPhoneが初めてIP68になった年です。この相談は8年前から公的機関の窓口にあり、同じ端末がいまも当店に届いています。

ここで気づいてほしいのは、IP等級は「仕様」であり、水濡れの扱いは「契約」だということです。数字はカタログにあり、水濡れの責任は保証規定で除外されている。耐水性能の表示と、液体損傷時の保証条件は、別々に確認する必要があります。同じページに注記が併記されていても、等級だけを見て保証されるとは判断できません。消費者はカタログを読んで買い、保証規定を読まずに水に持ち込む——構造はそれだけです。

これは新しい問題ではない——防水表示と保証をめぐる相談・行政判断・規格改正の経緯

  • 2012年:国民生活センターが消費者トラブル解説集で「防水機能付のスマートフォンなのに、水没扱いで有償修理にされた」を掲載し、防水機種でも完全密閉ではなく水分はどこからでも浸入すると注意喚起(同コーナーは2026年9月に公開終了)。
  • 2018年:東京都消費生活総合センターが同趣旨の相談FAQを掲載。同じ年、iPhoneが初めてIP68(XS)になった。
  • 2020年:イタリアの競争当局(AGCM)が、iPhone 8〜11の耐水表示について、試験が真水・静置の実験室条件でのみ成立することを明らかにせずに宣伝したこと、および耐水を宣伝しながら液体損傷を保証対象外としたことの2点を不公正な商慣行として、Appleに合計1,000万ユーロの制裁金を科す決定を公表した。
  • 2022年:Appleの上訴を受けたイタリア国務院(Consiglio di Stato)は、当局の調査・証拠の不足を理由に、この決定を全面的に取り消した(判決 n.10199/2022)。制裁の発表と取消のいずれもイタリア法に基づく判断であり、日本の法律の解釈ではありません。日本向けの各社保証規定については第2章の各社資料をご確認ください。
  • 2026年:JISが約23年ぶりに改正され、規格番号がIEC 60529と統一された。そして、同じ経路で浸水した端末が、いまも当店に届いている。

出典:Apple「iPhone 7以降の防沫・耐水・防塵性能について」Apple「液体による損傷は保証対象外」ソニー Xperia ヘルプガイド「防水/防塵性能」Samsung「日本向けスマートフォン修理規定」Google Pixel「保証」ヘルプGoogle「防水スマホは水につけても大丈夫?」ソフトバンク「あんしん保証パックプラス」au「故障紛失サポート 補償内容」東京くらしWEB 相談FAQ(2018年掲載)AGCM プレスリリース PS11578(2020年) ※各社の規定は改定されることがあります。最新の一次情報をご確認ください。


3. 試験の中身——「6メートル・30分」は何をした表示か

試験機関の公開情報と規格本文から、水に関する主な等級の試験内容を整理します(規格の転載ではなく要約です)。

等級 試験の内容(要約) 日常でいえば
IPX5 全方向から毎分約12.5Lの噴流水を当てる ホースの水
IPX6 全方向から毎分約100Lの強い噴流水を当てる 甲板の波・強いシャワー
IPX7 小型の試験体では下端を水面下1mにして30分間沈める(静置) 浴槽に落として拾うまで
IPX8 IPX7より厳しい条件で継続的に沈める。製品規格がない場合、深さと時間は受渡当事者間の取り決め iPhone 17の場合「最大6m・最大30分」
IPX9 約80℃の高温水を高圧で噴射(2026年JISで新設) 食品工場などの高圧洗浄

※右列は試験のイメージを示したもので、その場所や使い方での安全性を保証するものではありません。

潜水試験(IPX7・IPX8)の条件を読む際は、次の点を確認してください。

潜水試験(IPX7/IPX8)の条件と適用範囲

  1. 真水で行う。海水・塩素・石けん・入浴剤は試験に含まれない。
  2. IPX7では、試験水と試験体の温度差は原則5℃以内。IPX8の条件は関連する製品規格、またはメーカーと使用者の取り決めによる。温度差は内部の気圧差を生み、水を吸い込む力になる。入浴・サウナ・温水での使用を避けるよう案内しているのは、規格ではなく各メーカーの使用上の注意。
  3. 新品の試験体を静かに沈める。使用後の個体を再試験する仕組みではなく、泳ぐ・動く・水流を受けるといった動きも含まれない。

「最大水深6メートル・最大30分」を見て「深さ6mまで安全」と読むのは、この前提を飛ばした読み方です。正確には、「試験体を、真水に、静かに、6m・30分沈めて、有害な影響が出なかった」という条件付きの表示です。Apple自身がその表示を「実験室の管理された条件下でのテスト」と説明しています。

参考:JIS C 0920:2003(IEC 60529:2001と同一内容)14.2.7・14.2.8/IEC 60529 AMD2 第6章/川重テクノロジー「IP試験」TÜV Rheinland「IP試験」


4. 見落とされている2つの点——IPX8の条件は誰が決めるか、8は5・6を含むか

点① IPX8の深さと時間は、規格が一律に決めていない

IPX7の条件は規格で定められていますが、IPX8は「IPX7より厳しい条件」であれば、関連する製品規格がない場合、深さも時間も受渡当事者間の取り決めによる構造です。つまり同じ「IP68」でも、1.5m・30分の端末と、6m・30分の端末が同じ表示になります。iPhoneも世代によって2m→4m→6mと条件が変わってきましたが、表示はずっと「IP68」でした。「IP68」という文字列を比べても、条件は比べていないことになります。仕様書の「最大水深○m・最大○分」まで読んでください。

点② 「沈める試験」の等級は、「水を当てる試験」への適合を意味しない

これが最も誤解されている点です。規格本文は、第2特性数字が7または8だけで表示された外郭は、噴流(5・6)にさらすことには適さないと考えられる、と明記しています。噴流への適合も示すには「IPX5/IPX8」のように二重表示する必要があり、実際にXperiaはそう表記しています。

iPhoneは「IP68」単独表記です。Appleがシャワーなど水圧の強い水や流速の大きい水をかけないよう案内しているのは、この規格の構造と整合しています。浴槽に静かに沈めるより、シャワーを浴びせるほうが規格の外側——直感と逆ですが、規格本文から導かれる事実です。


5. 防塵の「6」も同じ構造——タルクの試験と、ポケットの砂

1桁目の「6」は耐じん試験です。試験ではタルク(滑石)の微粉末を舞わせた試験槽に試験体を置き、内部を負圧にして粉じんを吸い込む方向の圧力をかけ、規定時間(基本8時間)後に内部への侵入がないことを確認します。試験機関のTÜV Rheinlandは、タルク粉は絶縁体なので製品内部に大量に入っても回路をショートさせない、と説明しています——つまり試験粉体は「侵入の有無を見る」ためのもので、実害を再現するためのものではありません。

一方、現実の端末に入るのは、ポケットの繊維くず、ビーチの砂、皮脂と混ざった埃です。粒径も性質も試験粉体と異なり、湿気を含みます。防塵の「6」が確認しているのは「乾いた微粉末が試験時間内に入らない」ことであって、充電口に溜まった湿った汚れが端子を腐食させないことではありません。

参考:JQA「IP試験」パンフレット/日東工業 菊川ラボラトリ「IP試験実施について」/TÜV Rheinland「IP試験」



6. 表示の条件から外れる4つの状態

試験は新品の試験体で行われます。以下のどれかに該当した個体は、もう試験を受けた個体と同じ状態ではなく、表示された性能をそのまま当てはめることはできません

状態 何が起きるか
経年 画面と筐体を接着している防水シール(ガスケット)は樹脂です。熱と時間で硬化・収縮し、密着力が落ちます。Appleが「永続しない」と書いているのはこれです。
落下・衝撃 フレームの目に見えない歪みで、シールに隙間ができます。画面が割れていなくても、密閉が失われていることがあります。
温度差・化学物質 お湯・サウナ・真夏の車内はシールを傷め、内圧差で水を吸い込みます。塩分・塩素・洗剤はシールを侵し、内部の金属を腐食させます。
開封・修理 一度開けた端末は、シールを再構成したうえで試験で確認しない限り、表示された性能が戻ったとは確認できません。これはメーカー修理・第三者修理を問いません。ソフトバンクは、特定の即日修理では防水性能試験を実施せず、試験を希望する場合は別の修理方法を案内しています——修理経路によって試験の扱いが違う、という公式の例です。

7. 当店の修理現場から——IP68の端末は、実際にどこから浸水するか

当店は年間6万件以上の修理を受け付けており、うち顕微鏡下の基板修理の実施は年間2,000件以上です。水没端末について、受付記録に基づく現場の概数を書きます(厳密な統計ではなく、おおよその実数です)。

どの機種が届くか

iPhoneは、初めてIP68になったXSから17シリーズまで、各機種おおよそ年間150台前後の水没端末が届きます。Xperia・Galaxy・Pixelなど防水・耐水を表示するAndroid各機種も、それぞれ年間50台前後。IP68表示の端末が水没しないのであれば、この数字は存在しません。iPhoneとAndroidを合わせると、年間で数千台の水没端末が当店に届く計算になります。

どこから入るか(受付時の観察)

浸水の入口として多いのは、画面と筐体の隙間(シール部)、充電口の周り、イヤースピーカーの周りです。いずれも規格の試験では「新品の状態で閉じている」ことが前提の場所であり、経年・落下・繰り返しの抜き差しで最初に緩む場所でもあります。

何に濡れたか(申告と観察)

季節で変わります。夏は海水・川、冬はトイレやお風呂。雨は年間を通じて多く、お茶やコーヒーも珍しくありません。お客様の申告と、基板を開けたときの状態は、ほぼ一致します。海水は基板に塩の結晶が吹き出し、お風呂や雨でも腐食(錆)は進んでいます。真水でなければ、IP等級の試験条件の外です。

洗浄だけで戻るか

戻りません。当店に届く水没端末は、洗浄のみでは起動せず、およそ8割が洗浄のうえで基板修理に進みます。理由は明確で、9割方のお客様が、濡れた後に電源を入れるか充電してしまっているからです。通電が腐食を進め、基板の損傷を確定させます。一方で、およそ2割のお客様は水没に気づいていません——症状が出てから開けて、初めて浸水痕が見つかります。1年前に海水に浸かった端末が復旧した例もありますが、これは結果を保証するものではなく、損傷の程度と通電の有無で決まります。

※いずれも当店の受付症例に基づく概数であり、一般利用者の水没確率や、特定機種の耐水性能の優劣を示すものではありません。

海水に浸かったiPhone 16e。充電口・スピーカー周辺に、白い塩の析出と茶色い錆・腐食が出ている(当店撮影)。
海水に浸かったiPhone 16e。充電口・スピーカー周辺に、白い塩の析出と茶色い錆・腐食が出ている(当店撮影)。事例記事:iPhone 16e 充電も起動もできない|海水没を基板修理でデータ復旧
ゲリラ豪雨で水没したGalaxy S23。液晶ケーブルを受ける基板側コネクタの端子の間に白い腐食が広がり、接触不良を起こしていた(当店撮影)。
ゲリラ豪雨で水没したGalaxy S23。液晶ケーブルを受ける基板側コネクタの端子の間に白い腐食が広がり、接触不良を起こしていた(当店撮影)。事例記事:Galaxy S23 水没で電源が入らない|基板と液晶ケーブルを修理しデータ復旧

はっきり書いておきます。当店はIP試験の設備を持っていません。ですから、修理後の端末について「耐水性能が戻った」とは言いませんし、保証もしません。シールを新品に交換すれば密閉を再構成することはできますが、それを試験で確認していない以上、「防水が戻った」と表示することはできないと考えています。当店がApple WatchやAirPodsの修理を行わない理由も同じです(Apple Watch修理を行わない理由AirPods修理と耐水性能)。


8. 性能表示と法律——「根拠」は誰に求められるか

性能表示には、法律上の裏付けが求められます。景品表示法には不実証広告規制(第7条第2項)があり、消費者庁が事業者に対し、期間を定めて表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求め、事業者が提出しない場合、その表示は措置命令との関係で優良誤認表示とみなされます。これはメーカー・キャリア・修理店を問わず、性能を表示する事業者すべてに適用される仕組みです。合理的な根拠は自社設備による試験に限られず、外部機関の試験などもあり得ます。

当店はIP試験設備を持たないため、修理後の防水・耐水性能を名乗りません。「防水修理」「防水復元」という表示が、どの性能を、どの条件で、どの資料に基づいて示しているのか。気になる場合は、根拠を尋ねてみてください。

出典:消費者庁「不実証広告規制」


9. 数字に惑わされずに使うための基礎知識

ここまでの事実から、実践的な指針は自然に導かれます。「防水だから大丈夫」ではなく、「表示の条件の内側にいるか」で判断してください。

表示の条件の外側(性能表示は何も語らない)

  • お風呂・温泉・サウナ(温度差+化学物質+蒸気)
  • 海・プール(塩分・塩素)
  • シャワー・蛇口の水流(IP68単独表記の端末では噴流は条件外)
  • 泳ぎながら・動きながら(静置が前提)
  • 落下歴のある端末、購入から年数の経った端末、開封歴のある端末
  • 濡れた状態での充電(Apple・ソニーとも明確に禁止)

もう一つ、見落とされがちな点があります。濡れた直後に「普通に動く」ことは、内部に水が入っていない証拠にはなりません。浸水した基板は、通電を続けることで腐食が進み、数日〜数週間後に症状が出ることがあります。水に落とした端末は、動いていても電源を切り、乾燥後も充電を急がず、可能なら早めに内部の確認を受けてください。


10. 保証されなかったとき、残る選択肢

メーカー保証が使えない場合、選択肢は次の4つです。それぞれ得られるものが違います。

選択肢 得られるもの 条件・注意
AppleCare+の物損サービス 所定の負担額で修理または本体交換 加入している場合のみ。本体交換の場合、端末内のデータはバックアップからの復元に依存する
キャリアの有償補償 所定の負担額で同一機種等に交換、または修理代金の軽減 加入している場合のみ。回数制限・条件あり。交換の場合はデータの扱いを事前に確認
第三者修理(基板修理) 端末そのものと、内部データを残したままの復旧を目指せる 損傷の程度により復旧・データ保持を保証するものではない。当店の基板診断は7,700円(税込)、見積りは無料
消費生活センターへの相談 保証の扱いに納得できない場合の中立的な相談先 修理・交換そのものを提供する窓口ではない

交換は端末を新しいものにし、基板修理は元の端末内にあるデータを残した復旧を目指します——復旧やデータ保持を保証するものではありませんが、写真や連絡先を残したい方にとってこの違いは決定的です。詳しくはデータを消さない修理方針基板修理のページをご覧ください。水没直後の対処はiPhone水没の正解に、お風呂特有の結露の問題はお風呂での結露と防水の限界にまとめています。



よくある質問

Q1. IP68のスマホをお風呂で使っても大丈夫ですか?

表示の条件外なので「分からない」が正確な答えです。潜水試験は真水で行われ、IPX7では温度差5℃以内が条件です。お湯・蒸気・入浴剤・石けんは試験に含まれません。Appleも入浴中の使用を控えるよう案内しています。

Q2. 「防水」と「耐水」は何が違うのですか?

Appleは「耐水」、他社の多くは「防水」と表記しますが、根拠は同じIPコードです。言葉の違いより、「どの試験に、どの条件で適合したか」を読むことが大切です。

Q3. 同じIP68なら、どのメーカーの端末も同じ耐水性ですか?

いいえ。IPX8は製品規格がない場合、深さと時間が取り決めで決まる等級なので、同じ表示でも条件が異なります。仕様書の「最大水深○m・最大○分」まで確認してください。

Q4. IP68ならシャワーくらい平気ですよね?

規格本文は、7または8だけで表示された外郭は噴流にさらすことに適さないと考えられる、としています。IP68単独表記の端末では、噴流への適合は示されていません。

Q5. 買って1か月の端末が水没しました。保証されますか?

確認した範囲では、主要メーカーのメーカー保証は液体損傷を対象外としていました。AppleCare+やキャリアの有償補償に加入していれば、所定の負担額で修理・交換できる場合があります。消費者法上の権利は別途あり得るため、納得できない場合は消費生活センターに相談できます。

Q6. 水濡れかどうかは、どうやって判定されるのですか?

多くのメーカーは本体内部の液体浸入インジケータ(LCI)や判定シールで判定します。文書上は外から見える機種もありますが、実際に利用者が判定を確認することは難しく、判定は事業者側の検査で行われます。

Q7. 防塵の「6」があれば、砂浜で使っても大丈夫ですか?

IP6Xの試験は乾いた微粉末(タルク)で行われます。湿った砂や皮脂を含んだ汚れは条件外で、充電口やスピーカーに溜まると腐食や接触不良の原因になります。

Q8. 濡れた後、普通に動いています。修理は不要ですか?

動作していることは、内部に水が入っていない証拠にはなりません。通電を続けると腐食が進み、後から症状が出ることがあります。電源を切り、早めに内部確認を受けることをお勧めします。

Q9. 修理したら防水性能は戻りますか?

当店はIP試験設備を持たないため、「戻った」とは言いません。シール交換で密閉を再構成することはできますが、性能を試験で確認していない以上、表示も保証もしないという立場です。

Q10. 2026年のJIS改正で、スマホの防水表示は変わりますか?

変わったのは規格番号(JIS C 0920→JIS C 60529)と、高温高圧噴流の等級IPX9の新設です。スマホに使われるIP68・IP6Xの表示方法は引き続きIEC 60529に基づきます。


用語集

IPコード(IP等級)
IEC 60529/JIS C 60529 で定められた、外郭による固形物・水の侵入に対する保護等級の表示方法。
JIS C 60529
2026年1月に旧JIS C 0920を置き換えた日本産業規格。国際規格と番号を統一し、IPX9を新設。
IPX7/IPX8
静かな水中に沈める試験。7は小型の試験体で下端を水面下1mにして30分、8はそれより厳しい条件(製品規格または取り決めによる)。
IPX5/IPX6
噴流水を当てる試験。潜水試験(7・8)とは別で、7・8のみの表示は噴流への適合を意味しない。
IP6X
タルク粉を用いた耐じん試験。内部を負圧にして、乾いた微粉末が侵入しないことを確認する。
ガスケット(防水シール)
画面と筐体の間の接着シール。樹脂製で、熱・時間・衝撃で劣化する。
LCI(液体浸入インジケータ)
水を含む液体に触れると変色する指標。メーカーが液体損傷を判定する根拠の一つ。
不実証広告規制
景品表示法第7条第2項。行政の求めに応じて表示の合理的根拠を示す資料を提出しない場合、措置命令との関係でその表示が不当表示とみなされる仕組み(課徴金側は第8条第3項で「推定」)。
遅発性の故障
浸水後も通電を続けることで腐食が進み、日数を経て現れる故障。
この記事の監修
執筆:スマートドクタープロ編集部監修:古賀潤一郎(代表)

スマートドクタープロ(運営:株式会社クレア/法人番号 8120001165987)。総務省登録修理業者(電気通信事業法:T000002/電波法:R000002)・ISO 9001:2015認証。基板の電源IC・充電IC・漏電まで診断・修理できる技術力と、年間6万件以上の修理実績をもとに、編集部が作成し、代表・古賀潤一郎(大阪心斎橋本店)が監修しています。

総務省
登録修理業者
電気通信事業法:T000002
電波法:R000002
ISO 9001:2015
年間修理実績
6万件以上
(年間)
掲載情報は公開日時点の内容です。Appleの仕様変更・iOSアップデート・法令改正などに応じて、技術品質管理室が定期的に内容を見直し・更新しています。