
地下鉄の階段から落とし、画面の左側に白い縦線が出てタッチがまったく効かなくなったiPhone 15(大阪府 I・M様)です。左下の角はガラスが割れ、落下の衝撃でフレームが内側に曲がって画面に食い込んでいました。曲がったフレームの一部を削って整えたうえで、元と同じOLED(有機EL)パネルへ交換。作業は約40分、写真や連絡先などのデータはそのままで、落下前と同じ表示と操作に戻りました。
ご相談の経緯──階段で落として、その場でタッチが効かなくなった
大阪府のI・M様が、地下鉄の階段でiPhone 15を落とされました。角から落ちたようで、拾い上げた時点で画面の左側に白い縦線が出ていて、ロック解除もできない状態だったそうです。電源ボタンを押すと画面は点き、通知音も鳴る。それでもタッチだけがまったく受け付けない。この状態で当店にお持ち込みいただきました。
画面が映っているのに触れないと、電話にも出られず、パスコードも入れられません。「写真や連絡先は無事なのか」「今日中に使える状態に戻るのか」。ご来店時にいただいたご質問は、この2点でした。
- 落下後の縦線とタッチ不能は、ガラスではなくOLEDパネル内部の破損で起きます。今回もガラスの割れは角だけでした。
- パネルを外すと、フレームの角が内側に曲がって画面に食い込んでいることが分かりました。ここを直さずに新しいパネルを載せると、浮きや再発の原因になります。
- フレーム全体の交換はせず、変形した部分だけを削って矯正。パネル交換と合わせて約40分で完了しました。
症状──白い縦線・タッチ無反応・左下の角のガラス割れ
お預かりした時点の症状は次のとおりでした。
- 画面の左側に、上から下まで伸びる白い縦の帯が出ている
- 画面のどこを触っても反応しない(スワイプ・タップとも不可)
- 左下の角を中心にガラスが放射状に割れている
- 左下の角のフレームが内側に潰れ、画面との境目に段差がある
- 電源は入り、通知音・バイブレーションは正常。パソコンにつなぐと認識される
「表示が壊れている」ことと「本体が壊れている」ことは別です。音が鳴り、振動し、パソコンが認識している以上、基板は動いています。写真や連絡先といったデータも端末の中にそのまま残っている、という見立てが最初の診断でつきました。
診断──縦線の出発点は、割れた角にありました
iPhone 15の画面はOLED(有機EL)パネルで、表示部分とタッチセンサーが1枚の部品にまとまっています。角に強い衝撃が入ってパネル内部の配線が傷むと、表示の縦線とタッチの無反応が同時に出ます。今回の白い帯は、割れた左下の角から上に向かって伸びていました。破損の起点がその角であることは、この時点でほぼ見えていました。
分解してパネルを外すと、もうひとつ分かったことがあります。フレームの角が内側に曲がり、画面の側面に食い込んでいたのです。落下の衝撃でアルミの縁が押し込まれ、パネルの縁と当たる位置まで変形していました。
基板側は次のとおり問題ありませんでした。
- ロジックボードに変形・割れ・焼けなし
- ディスプレイのコネクタ、基板側の受け口ともに損傷なし
- バッテリーの膨張なし
落下後に表示だけでなく起動や充電にも症状が出ている場合は基板側を疑い、顕微鏡下で確認する基板修理の領域になります。今回はそこに至らず、フレームの矯正とディスプレイ交換で完結すると判断しました。
フレームの食い込みを直さないと、新しい画面がまた壊れます
ここが今回の分かれ道でした。曲がったフレームをそのままにして新しいパネルを載せることは、作業としては可能です。ただ、そうすると次のことが起きます。
- パネルが浮く:変形した縁に乗り上げて、画面がフレームに密着しません。角だけ浮いた状態になります。
- 同じ場所からまた線が出る:食い込んだ縁が新しいパネルの側面を押し続け、圧迫された場所から縦線やタッチ不良が再発します。
- ホコリや水分が入る:浮いた隙間から入り込み、内部の腐食やタッチの誤動作につながります。
- ガラスが割れやすくなる:フレームに均等に支えられていない角は、次に軽くぶつけただけで割れます。
フレーム交換ではなく、変形した部分だけを削って矯正
フレームの歪みを直す方法は2つあります。フレームそのものを交換する方法と、変形した部分を整える方法です。フレーム交換は基板・バッテリー・カメラなどすべての部品を新しい筐体へ移す大がかりな作業になり、費用も時間も大きく変わります。
今回は、変形が左下の角の一部に限られていました。そこで内側に押し込まれた縁を、パネルが正しい位置に収まるまで部分的に削って整える方法を取りました。削るのは食い込んでいる縁だけです。整えたあとに新しいパネルを仮合わせして、浮きがないこと、均等に収まることを確認してから接着に進みました。
なお、落下後に画面へ線が入る症状全般については、iPhoneの画面に線が入る原因と対処で解説しています。ガラスが割れていないのに表示だけが壊れた例は、iPhone 13 Pro 落下で画面が緑の砂嵐になった事例をご覧ください。
実際に行った修理(約40分)
- お預かり前に、症状・データの重要度・バックアップの有無を確認
- 加熱して接着を緩め、破損したディスプレイを開放
- バッテリーコネクタを外して通電を遮断
- ディスプレイのコネクタを外し、破損したパネルを取り外し
- フレームの角の変形を確認し、食い込んでいる縁を部分的に削って矯正
- 新しいOLEDパネルを仮合わせして、浮き・段差がないことを確認
- Face ID・近接センサーなどの部品を元のパネルから新しいパネルへ移設
- 仮組みで表示・タッチ・Face IDを確認したうえで、防水パッキンを貼り直して組み上げ
Face IDに関わる部品は、元の端末から新しいパネルへ移設します。ここを新品部品に置き換えるとFace IDが使えなくなるため、移設は必須の工程です。
フレームの矯正とOLEDパネルへの交換により、縦線は消え、タッチは全面で反応するようになりました。Face ID・True Tone・明るさの自動調整も正常です。写真・連絡先・LINEを含むデータはすべてそのまま。初期化もバックアップからの復元も行っていません。お渡しまで約40分、I・M様にはご来店のまま店頭でお待ちいただきました。
iPhone 15 画面交換のパネルと所要時間・保証
- 通常OLED(有機EL)交換:今回はフレーム矯正を含めて約40分/3ヶ月保証
- 当店のOLEDは元と同じフィルム基材のソフトOLEDのみ。ガラス基材のハードOLEDは使いません
- 液晶(LCD)パネルへの交換は、バッテリーの持ちと発色が変わるため、使い続ける端末にはお勧めしていません
iPhone 15はもともとOLEDを搭載した機種です。交換用パネルには安価な液晶(LCD)も流通していますが、元と違う方式に載せ替えると消費電力が上がり、黒が白っぽく浮きます。この違いはその「格安画面修理」、有機ELを液晶にすり替えられていませんか?で仕組みから説明しています。
具体的な金額は、このページ内の「簡単見積もり」からその場でご確認いただけます。機種と修理箇所を選ぶと、最新の料金が表示されます。機種別の一覧は修理料金一覧、iPhone 15シリーズ全体はiPhone 15シリーズの修理をご覧ください。
当店の修理現場から
- 落下による画面の不具合でお持ち込みいただくのは、月に80件ほどです。そのうち角から落ちた端末では、今回のようにフレームが内側に曲がっているケースが少なくありません。ガラスの割れ方だけを見て「画面交換だけで済む」とは判断しません。
- 画面を外したら、パネルを載せる前にフレームの縁を指と目で確かめるのが当店の手順です。段差や食い込みがあれば、先に整えます。新しいパネルを長く使っていただくための工程で、追加のお時間はわずかです。
- 縦線とタッチ不能が同時に出ても、データは端末の中に残っていることが多いです。画面が操作できないからといって、初期化を選ぶ必要はありません。
当店は総務省登録修理業者(R000002/T000002)として、またISO 9001:2015認証のもと、2009年から心斎橋の店舗で修理を行っています。年間6万件以上の修理実績があり、画面交換から基板修理・データ復旧まで自社ラボ内で完結します。メーカー修理をご検討の場合はAppleの修理サービス(公式)もあわせてご確認ください。遠方の方は全国からの郵送修理でも同じ内容で対応しています。
同じ症状のときに、やらないほうがよいこと
- 曲がった角を押したり叩いたりして戻す:フレームは戻らず、内側のパネルとバッテリーに力が伝わります。バッテリーが変形すると発熱・膨張の危険があります。
- 画面を強く押してタッチを試す:破損したパネルにさらに力が加わり、表示できていた部分まで失われることがあります。
- 再起動を繰り返す:内部の配線が傷んでいる以上、表示もタッチも戻りません。バッテリーを消耗させるだけです。
- 「操作できないから」と初期化やパスコードの総当たりを試す:データが失われる、あるいは端末がロックされる恐れがあります。画面が効かないことと、データが消えていることは別です。
- ご自身で分解する:ディスプレイのケーブルは基板に直結しています。曲がったフレームの上で無理に開けると、コネクタを傷めて画面交換だけでは済まなくなります。
画面が操作できなくても、多くの場合、データは端末の中にそのまま残っています。慌てて手を加えるより、その状態のままお持ちいただくのが最短です。
よくあるご質問(落下後の縦線・タッチ不能・フレームの歪み)
Q. iPhoneを落として画面に白い縦線が出て、タッチも効きません。データは残っていますか?
多くの場合、壊れているのはディスプレイ側だけで、基板と写真・連絡先・LINEなどのデータはそのまま残っています。着信音が鳴る、振動する、パソコンにつなぐと認識される、といった反応があれば本体は動いています。今回のiPhone 15もディスプレイの交換だけで、初期化やバックアップからの復元をせずに元の状態へ戻りました。ただし落下の強さによっては基板に影響が及ぶこともあるため、分解して確認したうえでご説明します。
Q. 縦線とタッチ不能が同時に起きるのはなぜですか?
iPhone 15の画面はOLED(有機EL)パネルで、表示部分とタッチセンサーが1枚の部品に組み込まれています。角に強い衝撃が入ってパネル内部の配線や接続部が傷むと、表示の縦線とタッチの無反応が同時に出ます。ガラスが割れているかどうかとは別で、割れが小さくても内部が壊れていれば同じ症状になります。
Q. フレームが曲がっていると、画面交換だけでは直らないのですか?
新しいパネルを載せること自体はできますが、曲がったフレームが画面の縁を押し続ける状態になります。パネルが浮く、押された部分から再び線やタッチ不良が出る、隙間からホコリや水分が入りやすくなる、といった不具合の原因になります。当店では画面を外した段階でフレームの状態を確認し、変形があれば先に矯正してから新しいパネルを取り付けます。
Q. フレームを削るとは、どのような作業ですか?本体交換やフレーム交換が必要になりますか?
落下で内側に押し込まれたフレームの縁を、パネルが正しく収まる位置まで部分的に研削して整える作業です。今回のように角の一部だけが変形しているケースでは、フレーム交換や本体交換をせずに対応できます。フレーム全体が大きく歪んでいる、背面ガラスまで割れている、といった場合は別の方法をご提案しますので、まず実機を拝見してから判断します。
Q. iPhone 15の画面交換にかかる時間はどのくらいですか?
今回はフレームの矯正を含めて約40分でお渡ししました。フレームに変形がなく、パネル交換のみで済む場合は、これより短くなることが多いです。店頭でお待ちいただける時間です。
Q. iPhone 15の画面交換に使うパネルは、元と同じ有機EL(OLED)ですか?
はい。iPhone 15はもともとOLED(有機EL)を搭載している機種で、当店の通常の画面交換では元と同じ方式のOLEDパネルを使います。当店が使うOLEDは、元のiPhoneと同じ柔らかいフィルム基材のソフトOLEDのみです。液晶(LCD)パネルへの交換は、バッテリーの持ちや発色が変わるため、長く使い続ける端末にはお勧めしていません。
Q. 交換した画面に保証はありますか?
通常のOLED画面交換には3ヶ月の保証をお付けしています。保証の範囲と対象外になる場合は修理規約に定めがあり、お渡し時にご説明します。落下による再破損は保証の対象外です。
Q. 画面が見えない・タッチできない状態で、来店前にやっておくことはありますか?
そのままの状態でお持ちください。画面を押す、角を叩いて戻そうとする、再起動を繰り返す、といった対応は内部の破損を広げるだけで表示は戻りません。バックアップが取れる状態であれば取っておくと安心ですが、画面が操作できない場合は無理に試さなくて大丈夫です。
用語の解説(OLED・ソフトOLED・フレーム・食い込み・縦線)
- OLED(有機EL):画素そのものが発光する表示方式。黒を完全に消灯でき、消費電力が低い。iPhone 12以降のナンバリング機種(SEを除く)はすべてこの方式で、iPhone 15もOLEDです。
- ソフトOLED:柔らかいフィルム基材の有機ELパネル。元のiPhoneと同じ構造で薄く、視野角・発色が元に近い。当店の通常交換はこれのみを使用。
- フレーム:iPhoneの外周を形づくる金属の枠。iPhone 15はアルミニウム製で、画面は前面のこの枠に接着して収まっている。落下の衝撃を最初に受けるのはこの角。
- 食い込み(フレームの変形):落下で内側に押し込まれたフレームの縁が、画面パネルの側面や縁に当たっている状態。表示の線・タッチ不良・パネルの浮きの原因になる。
- 縦線(縦帯):画面の上から下まで伸びる線や帯状の表示。今回のような白い帯のほか、色付きの細い線、緑や紫の帯として出ることもある。パネル内部の配線が傷んだサイン。
- ディスプレイassembly:パネル・タッチセンサー・センサー類が一体化したフロント部品。iPhoneの画面交換はこの単位で行う。
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登録修理業者電気通信事業法:T000002
電波法:R000002

6万件以上(年間)