
ゲリラ豪雨で水没し、電源が入らず、画面も映らなくなったGalaxy S23です。開けてみると内部にまだ水が残り、基板と液晶ケーブルのコネクタが腐食していました。基板の洗浄・腐食除去と液晶ケーブルの交換で完全に復旧し、写真も連絡先もそのままお渡しできました。
ご相談の経緯──タイ語で検索して、当店にたどり着かれました
タイから日本に来られている留学生のお客様です。外出中にゲリラ豪雨に遭い、Galaxy S23が水没。その後、電源が入らなくなり、画面も映らなくなりました。
ご本人は「もう無理かもしれない」と思いながらも、ダメもとでタイ語で検索されたそうです。そこで当店のタイ語ページを見つけ、心斎橋までお越しになりました。
当店は日本語のほかに英語・タイ語・ベトナム語などのご案内ページを用意しています。日本語に不安があっても、修理の相談はできます。「探し方が分からない」で諦めてしまう前に、母語で検索してみてください。海外からのお客様の修理は、当店では珍しいことではありません。
- 外観は無傷でも、内部には水が残り、腐食が進んでいました。
- 壊れていたのは基板の一部と液晶ケーブルのコネクタ。どちらか片方の修理では直りません。
- データは基板の中にあります。基板を直すことが、データを残すことと同じでした。
お預かり時の状態──外は無傷、中は水浸し
お預かりした時点で、電源が入らず、画面も映らない状態でした。外装に割れや欠けはなく、見た目だけなら故障しているようには見えません。
Galaxy S23は防水性能(IP68)を備えた機種です。それでも水は入ります。防水は「新品時に、静かな水に、決められた時間」を前提にした性能で、経年でパッキンが弱った端末が豪雨に打たれ、ポケットの中で揉まれる状況は想定に入っていません。
分解すると、内部にはまだ水が残っていました。ここが今回の分かれ目です。水が残っている限り、電気が流れるたびに腐食が進みます。時間が経つほど、直せる範囲は狭くなります。
診断──基板の腐食と、液晶ケーブルのコネクタの損傷
分解して、損傷している箇所を特定しました。写真の赤丸が損傷部です。
確認できた損傷は次のとおりです。
- 基板シールド下の腐食(水が乾いた跡の直下)
- 液晶ケーブルの先端コネクタの腐食
- 基板側の液晶コネクタ端子の腐食と接触不良
- 内部に残っていた水分
液晶ケーブルは、画面と基板をつなぐ細い配線です。ここの端子は間隔がとても狭く、少しの腐食でも隣の端子と短絡したり、逆に接触が切れたりします。ケーブルを新品に替えても、受け側の基板のコネクタが腐食していれば映りません。逆も同じです。今回は両方に損傷があったため、両方に手を入れる必要がありました。
なぜ「乾かして様子を見る」がいちばん危ないのか
水没のご相談で最も多いのは、「数日乾かしてから電源を入れたら、一度は動いたのに、その後ダメになった」という経緯です。
乾かすと水は減りますが、水に溶けていた不純物は基板の上に残ります。そこに電気が流れると、電気分解で腐食が一気に進みます。一度動いたように見えても、その間に内部では損傷が広がっています。
- 電源を入れて確認する:通電した瞬間に腐食が進みます。「動くかどうか」は店で確認します。
- 充電する:内部に水が残った状態での充電は、被害を最も広げる行為です。
- ドライヤーで乾かす:熱で部品を傷め、水分を奥へ押し込みます。
- 米や乾燥剤に入れて数日置く:乾く前に腐食が進みます。時間が経つほど不利です。
- 振って水を出そうとする:水が別の場所へ移動し、被害範囲が広がります。
できることは一つです。電源を入れずに、そのままお持ちください。今回のお客様は、この点で正しい判断をされていました。内部に水が残っていた状態でも直せたのは、通電による腐食が広がる前に持ち込まれたからです。
洗浄だけでは直らない理由については、水没は「洗浄だけ」では直らない理由で詳しく解説しています。
修理内容──基板の洗浄・腐食除去と、液晶ケーブルの交換
- お預かり前に、データの重要度とバックアップの有無を確認
- 分解し、バッテリーを外して通電を完全に遮断
- 内部に残った水分を除去
- 基板をシールドごと取り外し、超音波洗浄で不純物を除去
- 顕微鏡下で腐食部を特定し、腐食を除去・補修
- 基板側の液晶コネクタ端子を清掃・補修
- 液晶ケーブルを新品に交換
- 仮組みで起動・表示・タッチ・充電・通信を確認
- 本組みして最終確認、お渡し
ここで大事なのは順番です。ケーブルを替える前に、基板を直す。基板の腐食を残したまま新しいケーブルをつなぐと、腐食した端子が新品のケーブルまで傷めます。
起動・表示・タッチ・充電・通信のすべてが正常に戻りました。写真・連絡先・アプリのデータはすべてそのままです。初期化は行っていません。お客様には、母国のご家族との連絡手段が戻ったことを喜んでいただけました。
Galaxy・Androidの水没修理について
当店はiPhoneだけでなく、GalaxyをはじめとするAndroid端末の基板修理に対応しています。今回のように基板の腐食と部品の損傷が重なっている場合でも、基板レベルで診断し、データを残す前提で修理します。
Galaxyは機種ごとに内部構造が異なります。ご相談の際は、メーカー名と型番(例:Galaxy S23/SM-S911)をお知らせいただくと、話が早く進みます。型番は設定画面か、購入時の箱で確認できます。
診断は有償です。金額はこのページ内の「簡単見積もり」からその場でご確認いただけます。Android全体の修理メニューはAndroid修理のご案内、タイ語でのご案内はซ่อม Android ที่โอซาก้า(タイ語ページ)をご覧ください。
当店の修理現場から
- 夏場のゲリラ豪雨による水没は、毎年この時期に集中します。「防水だから大丈夫」と思っていた方ほど、そのまま使い続けて被害を広げがちです。
- 海外からのお客様は、母語で検索して当店を見つけてこられます。言葉の壁より、電源を入れてしまうことのほうが、修理には不利です。
- 水没修理は時間との勝負です。当店が店内で分解から修理まで完結させているのは、預かり期間の分だけ腐食が進むからです。
当店は総務省登録修理業者(R000002/T000002)として、またISO 9001:2015認証のもと、2009年から心斎橋の店舗で修理を行っています。年間6万件以上の修理実績があり、基板修理・データ復旧はすべて自社ラボ内で完結します。メーカーでの修理をご検討の場合はSamsungサポート(公式)もあわせてご確認ください。
よくあるご質問(雨・防水・水没後の対応)
Q. 雨に濡れただけでも「水没」になりますか?
なります。ゲリラ豪雨のような強い雨は、ポケットやカバンの中まで浸みます。端末が水に沈んでいなくても、内部に水が入れば水没と同じ状態です。今回のお客様も、水の中に落としたわけではありません。
Q. 防水(IP68)のGalaxyなのに、なぜ中に水が入るのですか?
防水性能は、新品の状態で、静かな真水に、決められた深さと時間で試験した結果です。使っているうちにパッキンは弱り、落下や温度変化で隙間ができます。強い雨に打たれながらポケットで揉まれる状況は、試験の条件とは別のものです。
Q. 水没したあと、乾かせば直りますか?
乾かしても、水に溶けていた不純物は基板の上に残ります。そこに電気が流れると腐食が進み、一度動いても後で壊れることが多いです。乾かして様子を見る時間が、そのまま腐食が進む時間になります。
Q. 電源を入れて動くか確認してもいいですか?
おやめください。内部に水が残った状態で通電すると、電気分解で腐食が一気に進みます。動くかどうかは店で、水分を除去してから確認します。電源を入れずにお持ちいただくのが、最も復旧率を上げる行動です。
Q. 基板修理と液晶ケーブル交換は、なぜ両方必要だったのですか?
今回はケーブルの先端と、それを受ける基板側のコネクタの両方が腐食していました。ケーブルだけ新品にしても、受け側が腐食していれば映りません。基板だけ直しても、ケーブル側の腐食が残れば同じです。両方に損傷がある場合は、両方に手を入れます。
Q. 水没からどれくらいまでなら間に合いますか?
日数で線は引けません。決め手は「通電したかどうか」と「水がどこまで回ったか」です。電源を入れずに数日以内にお持ちいただいた端末は、復旧できることが多いです。逆に、通電を繰り返した端末は、数時間でも厳しくなります。迷ったら、まずご相談ください。
Q. 日本語が得意でなくても相談できますか?
できます。英語・タイ語・ベトナム語などのご案内ページを用意しており、店頭では翻訳アプリを併用してご説明します。今回のお客様もタイ語で検索して当店を見つけられました。修理の内容や費用は、納得いただいてから作業に入ります。
Q. 水没修理でデータは残りますか?
基板が修理できれば、データは残ります。データは基板上のメモリに保存されているため、基板を直すことがデータを残すことと同じです。ただし腐食がメモリ周辺に及んでいる場合は、復旧できないこともあります。診断の段階で、可能性をお伝えします。
用語の解説(腐食・液晶ケーブル・コネクタ・超音波洗浄・IP68)
- 腐食:水分と電気で金属が溶けたり、変質したりすること。基板の配線や端子が細るため、動作不良や短絡の原因になる。
- 液晶ケーブル(ディスプレイフレックス):画面と基板をつなぐ薄い配線。先端のコネクタで基板に接続する。
- コネクタ:ケーブルと基板を接続する部品。端子の間隔が非常に狭く、わずかな腐食でも接触不良を起こす。
- 超音波洗浄:洗浄液の中で超音波を当て、基板に残った不純物を細かい振動で落とす工程。
- IP68:防塵・防水性能の等級。新品の状態で、静かな真水を使った試験条件での性能を示す。
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スマートドクタープロ(運営:株式会社クレア/法人番号 8120001165987)。総務省登録修理業者(電気通信事業法:T000002/電波法:R000002)・ISO 9001:2015認証。基板の電源IC・充電IC・漏電まで診断・修理できる技術力と、年間6万件以上の修理実績をもとに、編集部が作成し、代表・古賀潤一郎(大阪心斎橋本店)が監修しています。
登録修理業者電気通信事業法:T000002
電波法:R000002

6万件以上(年間)