データ復旧「復旧率95%」のカラクリ|暗号化スマホは0か1
その「復旧率95%」、いまは「完全復旧5割台」に書き換えられています。
大切なデータを人質に、数字があなたを選ばせようとしていませんか。暗号化された現代のスマホに「95%」はありません。あるのは、診断後の100%か、0%かだけです。
- 「復旧率95.2%」を掲げた大手業者に、適格消費者団体が消費者契約法41条に基づく差止請求。表示は「完全復旧5割台」を含む内訳へ改められました(2026年・団体公式記録)
- その「復旧率」を信じて契約した方が提訴し、2026年6月、請求をほぼ認めさせる「業界初とされる勝訴的和解」が成立したと報じられました
- 当店は総務省登録修理業者として、残せた事例も、残せなかった事例も、すべて公開しています
📞 0120-960-690(診断のご相談無料/基板診断7,700円税込)
月〜金 11:00〜21:00/土日祝 10:00〜21:00・予約不要
[来店:心斎橋駅3分 → /shinsaibashi.html][全国郵送 → /post_repair/]
結論:数字ではなく「定義」を見てください
データ復旧の広告で目にする「復旧率◯%」。この数字は嘘とは限りません。しかし、分母と分子の定義しだいで50%にも95%にもなる数字です。
実際に、業界最大手級のデジタルデータソリューション株式会社(サービス名「デジタルデータリカバリー」)の表示は、適格消費者団体の申入れを経て「一部復旧を含む復旧件数割合92.6%(内、完全復旧52.0%・一部復旧40.6%)」という内訳表示に変更されています(埼玉消費者被害をなくす会の公式記録・2026年2月6日現在)。「一部復旧」には、取り戻したい写真が戻らなくても、何か1つでもデータが読めた場合が含まれます。なお、同社が公開している説明ページでは、この割合は月ごとに更新される集計値として表示されており、「95.2%」はすべての時期に共通する固定値ではありません(同社「復旧件数割合について」)。
そして、あなたが持っているのがスマホなら、この数字はそもそも意味を持ちません。理由をこのページで全部説明します。読み終える頃には、どの店に頼むべきか、ご自分で判断できるようになっています。
ある裁判と差止の記録(2025〜2026年)
「復旧率95.2%」という表示を信じ、10万円超の費用と月額プランを契約したものの、期待した結果を得られなかった方が提訴。2026年6月、慰謝料を含む請求をほぼ認めさせる形の勝訴的和解が成立したと報じられました。原告代理人は会見で「データ復旧会社を相手とする訴訟で原告が勝訴的和解をした、おそらく初の事案」「泣き寝入りしている人が相当数いるのではないか」と述べています(弁護士ドットコムニュース/弁護士JPニュース)。
なお、会社側は「和解にあたって原告の主張を認めたものではない」と回答しています。当店はどちらの肩も持ちません。公開された記録と報道を、そのままお伝えするだけです。
この会社をめぐっては、内閣総理大臣認定の適格消費者団体「埼玉消費者被害をなくす会」が、消費者契約法41条に基づき、2024年10月31日付の申入書から三度の申入れを重ね、2026年2月5日付で「事前の差止請求書」を送付しています(経過の全記録は同会公式ページ参照)。この手続きは2026年現在も継続中で、その過程で「復旧率最高値95.2%」の表示が前掲の内訳表示へと改められたことが、同会の公式ページに記録されています。データ復旧協会(DRAJ)も本件について公式見解を公表し、「復旧率の定義は各社バラバラ。復旧率だけを鵜呑みにしないよう気をつけましょう」と注意を呼びかけています。
「復旧率」が変わる3つのカラクリ
カラクリ①:「一部復旧」を成功に数える。 1万枚の写真のうち1枚しか戻らなくても「復旧成功」。業界団体・日本データ復旧協会(DRAJ)は、復旧成功を「お客様の望むデータがすべて復旧できた場合」と定義し、それ以外は一部成功または失敗と扱うべきとしています。定義が違えば、数字は倍近く変わります。
カラクリ②:分母から都合の悪い案件を外す。 診断段階で断った重度案件を分母に含めなければ、率は上がります。
カラクリ③:媒体をまぜる。 HDDやSDカードなど「部分復旧が技術的に本当に存在する媒体」の実績と、暗号化スマホをひとつの数字にまとめる。次の章で説明しますが、この2つはまったく別の世界です。
この構造は、業界団体のトップ自身が語っています。DRAJ会長(当時)は業界メディアのインタビューで、悪質業者の見分けポイントの一つに「嘘をつく、不可能な復旧率を出す」ことを挙げ、HDDでも磁性体剥離など直せないものが一定割合あるため復旧率は最高でも7〜8割程度であり、診断して復旧できそうな案件だけを分母にすれば100%近い数字が作れてしまう——だからこそDRAJ加盟社は復旧率をうたわないと取り決めた、と説明しています(INTERNET Watch・2018年12月28日)。円盤のHDDですら、業界団体の会長が言う上限は7〜8割。「90%以上」という数字が何を意味するか、もうお分かりだと思います。同じ記事では、診断料として120万円を提示され、復旧されたのは無意味なファイルだけだったという相談事例も紹介されています。
DRAJは公式ガイドラインで、「データ復旧率」との宣伝文句を見て依頼したものの納得できない結果となり、それでも高い費用を請求される被害があると警告し、急かす・不安を煽る勧誘を「レスキュー商法」と名付けて注意喚起しています(DRAJガイドライン/トラブル相談)。
「復旧率」の分母が死んでいく30年【年表図】
データ復旧という商売は、1990年代、HDD(ハードディスク)の円盤を解析して読み出す技術として生まれました。円盤の世界では、読める部分と読めない部分が分かれるため、「部分復旧」は本物の技術であり、「復旧率」にも意味がありました。
しかし――
- 2013年 iPhoneにSecure Enclave搭載。データはチップに焼き込まれた鍵で暗号化され、記憶チップを取り出して読んでも暗号文しか出ない時代へ
- 2016〜2019年 Androidも暗号化が事実上必須に(Android 10で必須要件化)
- 2018年 MacにT2チップ。FileVaultをオフにしていても内蔵SSDは常時ハードウェア暗号化
- 2020年 Apple Silicon Macで同様の常時暗号化が標準に
- 2024年 Windows 11(24H2)で新規セットアップ時のデバイス暗号化が既定で有効に
つまり、HDD時代の復旧技術が通用する端末は、年々この世から減り続けています。それでも広告の数字だけは、円盤の時代の意味のまま表示され続けている――これが問題の正体です。
なお、SDカード・USBメモリ・外付けHDDは今も部分復旧が実在する世界であり、そこには誠実な専門業者が存在します。当店が問題にしているのは技術ではなく、別世界の数字を暗号化端末の持ち主に見せる表示のあり方です(Apple プラットフォームセキュリティ(公式))。
業界団体の壇上で「詐欺」と言われたもの
2019年6月、日本データ復旧協会(DRAJ)の発表会後のトークセッションで、DRAJの会員企業であるくまなんピーシーネット代表取締役の浦口康也氏は、暗号化されたスマートフォンでは消えたファイルは戻らないという現実を説明したうえで、こう述べたと報じられています。
「なので“iPhoneのデータを復旧できる”と謳う業者は詐欺です」
――くまなんピーシーネット代表・浦口康也氏(DRAJ発表会トークセッション、デジカメ Watch・2019年6月27日)
同じ壇上では、実際には復旧できないと分かっていながらあえて受注し、「調査費」の名目で稼ぐ業者が存在することも語られました。さらに同記事では、復旧成功率は高くても70%前後、場合によっては20%を切るとし、90%を超える表記は間違いなく詐欺だとするDRAJ側の説明も紹介されています。「詐欺」という言葉は、当店ではなく、業界団体の壇上から出た言葉です。
ここで、決定的に重要な区別があります。「データ復旧」という言葉には2つの意味があるのです。
①消えた(削除した・消えてしまった)データを取り戻すこと。暗号化された現代のスマホでは、これは技術的に不可能です。浦口氏が「詐欺」と断じたのは、この不可能を謳って集客する行為です。
②壊れて起動しない端末から、データを取り出すこと。同じトークセッションで、アイフォレンセ日本データ復旧研究所代表の下垣内太氏は、これからは機器そのものを修理することでデータを取れるようにする方法が主流になるとの見方を示しました。端末を修理して起動させ、中のデータをそのまま取り戻す——当店が17年間やってきた基板修理は、この②です。
あなたが探すべきなのは、①を謳う店ではなく、②を診断できる店です。そしてこの区別を最初に説明してくれるかどうかが、店を見分ける最初のリトマス試験紙になります。
暗号化スマホは「0か1」。だから、誠実な店の数字は一つだけ
暗号化されたスマホ・タブレット・PCからデータを取り出す方法は、世界にただ一つ。基板を修理して、その端末そのものを起動させることです。チップを剥がして別の機械で読む道は、暗号化の壁で閉ざされています。「写真1枚だけ戻った」「電話番号だけ戻った」は、構造上起こりません。(正確には、鍵の壁=端末へのアクセスが0か1です。起動した後のファイルやデータベースの層で、破損により一部に欠けが生じることは稀にあります。当店の事例記事でも、この点は隠さず記載しています。)
だから、誠実な店が事前に言える数字はこうなります。
診断前:約50%――これは実績値ではありません。「まだ端末を見ていないので、治るかどうか分からない」という、五分五分の事実そのものです。見てもいないのに高い数字を口にする店は、コインの裏表を投げる前に言い当てられると言っているのと同じです。
診断後:100%か、0%――損傷箇所が特定された瞬間、確率は消えます。
コインは、落とした瞬間・踏まれた瞬間に、もう投げられています。私たちの仕事は結果を変えることではなく、診断でコインの表裏を正確に読み、可能性が残る端末から確実にデータを取り切ることです。
当店の数字――不利なものも、すべて出します
診断前の「五分五分」とは別に、実際に手がけた仕事を後から集計すると、数字が見えてきます。当店はこれまで、車に踏まれた・海に沈んだといった重度破損端末のデータ復旧を累計約2,000台対応してきました。
そのうち約半数(約50%)は、完全復旧できませんでした。内訳は、CPU・NANDメモリ・SoCといった中枢が致命的に損傷していたケースが約4割、基板は残っていてもソフトウェア面の問題で起動に至らなかったケースが約1割です。裏を返せば、完全に取り戻せたのも約半数。この数字も「約束の確率」ではなく、終わった仕事の集計にすぎません。
そして残せなかった事例も、成功した事例と同じように公開しています。
診断前の「わからない=五分五分」と、この実績の「約半数」は、たまたま近い数字になります。ですが意味はまったく別です。前者は「まだ見ていない」という事実、後者は「終わった仕事」の集計。混同しないでください。
- ▶車に踏まれたiPhone 13――CPU・NANDクラックで復旧不可となった正直な事例(/jirei-voice/iphone13-kuruma-fumare-data)
- ▶iPhone 16 Pro 海水没――CPU・NAND載せ替えで全データを取り戻した事例(/jirei-voice/iphone16pro-kaisuibotsu-kouhen)
- ▶すべての修理事例・結果一覧(/jirei-voice/)
どの部位が、どんな症状で、残せたのか・残せなかったのか。この質問に事例で答え続けている店を、他にご存知でしょうか。 当店は2009年に日本初のPSE準拠スマホ修理事業として創業し、総務省登録修理業者(R000002/T000002)・ISO9001:2015認証のもと、17年間この方針を貫いてきました。
依頼前に、この5つを聞いてください
- 「復旧成功」の定義は何ですか?(望むデータ全部か、1ファイルでもか)
- その復旧率の分母は?(スマホ限定の完全復旧率を出せますか)
- 診断の結果、復旧不可だった場合の費用は?
- どの部位の損傷か、診断後に説明してもらえますか?
- 復旧できた事例・できなかった事例を公開していますか?
この5つの質問に答えられない店、電話口で(実機も見ずに)高い確率を約束する店、「今すぐ決めないと悪化する」と急かす店――DRAJが警告するレスキュー商法の典型です。
あわせて、次のような対応にもご注意ください:復旧不可時の費用や月額契約の解約条件を明示しない/見積書を出さない・有効期限が極端に短い/端末を返す条件や返送料を契約前に示さない。
すでに被害に遭ってしまった方へ: 泣き寝入りは不要です。契約書・見積書・広告画面・メール・録音・作業報告書・支払記録を保存してください。消費者ホットライン188(全国の消費生活センター)、適格消費者団体、警察に相談できます。広告の「復旧率」等の表示には、消費者庁が事業者へ合理的根拠の提出を求める仕組み(景品表示法7条2項)もあります。
▶相談先:国民生活センター/消費者庁 景品表示法/DRAJトラブル相談
当店の診断・料金・流れ
基板診断:7,700円(税込)――データ復旧の可否=100か0を、診断で確定させます。復旧作業が必要な場合は、内容と費用を事前説明し、同意後に着手。電話・店頭での簡単なご相談と料金目安のご案内は無料です。
※画面割れ・電池交換など通常の修理でデータが消えないか心配な方は、iPhone修理でデータはどうなる?(消える/消えないの早見表)もご覧ください。
※キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)のデータ復旧サービスに出すと、端末は成否にかかわらず返却されません。出す前にキャリアのデータ復旧に出す前に|約款の「返却しない」を読んでくださいもあわせてご覧ください。
- 来店:心斎橋駅7番出口 徒歩3分・予約不要(→ /shinsaibashi.html)
- 郵送:全国対応。全損・水没端末は乾かさずそのまま発送を(→ /post_repair/)
- 大阪府内の方:エリア別のご案内はこちら(→ /iphone-osaka)
- 料金一覧:機種別・症状別(→ /price/)
よくあるご質問
- 「復旧率95%」と書いてある業者は嘘をついているのですか?
- 嘘とは限りません。ただし「一部復旧を含む」「分母の構成」など定義しだいで大きく変わる数字であり、実際に大手業者(デジタルデータリカバリー)の表示は、適格消費者団体の申入れを経て「復旧率最高値95.2%」から「完全復旧5割台」を含む内訳表示に改められています。数字ではなく定義をご確認ください。
- スマホのデータ復旧に「部分復旧」はありますか?
- 暗号化された現代のスマホ(iPhone・Android)では、構造上ほぼありません。端末を起動できる状態まで修理できれば全部戻り、できなければ戻らない「0か1」です。部分復旧が実在するのはHDDやSDカードなど非暗号化媒体の世界です。
- では、復旧できる確率は何%ですか?
- 診断前にお答えできるのは「まだ端末を見ていないので五分五分」という事実だけです。参考として、当店がこれまで手がけた重度破損 約2,000台では、完全復旧できたのは約半数で、残る約半数はCPU・NAND等のハード損傷やソフトウェア起因で復旧不可でした。これは約束ではなく終わった仕事の集計です。診断後は確率ではなく「できる(100%)」「できない(0%)」の結論をお伝えします。診断前に高い確率を約束する店にはご注意ください。
- NANDメモリやCPUが割れていると、なぜ復旧できないのですか?
- データはNANDメモリに保存されていますが、SoC(CPU)内の鍵で暗号化されており、チップ単体を取り出して読むことができません。データを残すには端末を起動できる状態に修理する必要があり、NANDやCPU自体が物理的に割れているとその手段が失われます。
- 他店やメーカーで「復旧不可」と言われました。もう無理ですか?
- 損傷箇所によります。原因が交換・修復可能な部位(電源IC、コネクタ、断線等)であれば、基板修理で起動を復旧しデータを残せた事例が当店に多数あります。逆に当店で診断して不可と判断した場合は、その理由を部位レベルでご説明します。なお、キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)のデータ復旧サービスは端末が成否にかかわらず返却されないため、出す前の確認が重要です(→キャリアのデータ復旧に出す前に)。
- 診断だけの依頼はできますか?費用は?
- はい。基板診断7,700円(税込)で、復旧可否と損傷部位をご報告します。復旧不可の場合も診断結果とその理由をありのままお伝えします。事前の電話相談・料金目安のご案内は無料です。
- 郵送でも同じ診断が受けられますか?
- はい、全国から承っています。水没・全損端末は、電源を入れず・充電せず・乾かさず、部品が脱落しないよう袋と緩衝材で包んでお送りください。
- 高額請求などの被害に遭った場合、どこに相談できますか?
- 消費者ホットライン188(最寄りの消費生活センターにつながります)、適格消費者団体、警察が相談先です。DRAJもトラブル相談の窓口ページを公開しています。契約を急がされている段階なら、支払う前にまず188へ。
用語集
- NANDメモリ
- 写真・連絡先などデータそのものが記録されるストレージチップ。
- SoC・CPU
- iPhoneの頭脳。内部のSecure Enclaveがデータ暗号鍵を管理し、この鍵なしにNANDは読めない。
- 基板修理
- 顕微鏡下でチップ・部品を修理交換し、端末を起動可能な状態に戻す技術。暗号化端末で唯一のデータ復旧手段。
- 一部復旧
- 復旧業界で「1ファイルでも戻れば成功」と数える集計方法。
- 差止請求
- 内閣総理大臣認定の適格消費者団体が、不当な表示・勧誘の停止を事業者に求める法的手続き。
- 勝訴的和解
- 判決ではないが、原告の請求を実質的に認めさせる内容で成立した和解。
参考資料(本文で引用した一次資料)
本ページの事実には、すべて出典があります。ご自分の目でお確かめください。
- 埼玉消費者被害をなくす会:デジタルデータソリューション株式会社(経過記録)
- 弁護士JPニュース(2026年6月・和解報道)
- 日本データ復旧協会:ガイドライン
- 日本データ復旧協会:トラブルにあわれた方へ
- デジカメ Watch(2019年6月27日・DRAJ発表会)
- INTERNET Watch(2018年12月28日・DRAJ会長インタビュー)
- Apple Platform Security:Secure Enclave
- Apple Platform Security:Data Protection
- Android Open Source Project:ファイルベース暗号化
- Microsoft Learn:BitLocker自動デバイス暗号化
- 消費者庁:不実証広告規制
- 国民生活センター
このページの監修
スマートドクタープロ(運営:株式会社クレア/法人番号 8120001165987)。総務省登録修理業者(電気通信事業法:T000002/電波法:R000002)・ISO9001:2015認証。年間6万件以上の修理実績をもとに、編集部が作成し技術品質管理室が内容を監修しています。
登録修理業者電気通信事業法:T000002
電波法:R000002

6万件以上(年間)