結論:落下や尻ポケットでの圧迫によりAチップ(CPU/SoC)にクラック(ひび)が入ると、データを記憶するNANDが無事でもデータが取り出せなくなることがあります。iPhone内のデータは、Aチップに統合されたSecure Enclaveなどの仕組みにより強く保護されているためです。今回は、iPhone 15 Pro(尻ポケットで尻もち→筐体変形)とiPhone 13(現場作業で激しく落下)の2件を、正直な事例としてご紹介します。ただしクラックの深さや損傷範囲によって結果は変わるため、あきらめる前の精密診断と、日頃のバックアップが重要です。
この記事の要点
- iPhone 15 ProとiPhone 13で、落下・尻ポケットでの圧迫によりAチップ(CPU/SoC)のクラックを確認した事例です。
- データ本体を記憶するNANDが無事でも、Aチップ側の損傷で暗号処理が行えず、データを取り出せない場合があります。
- Aチップのクラックは深さ・損傷範囲によって結果が変わり、浅い損傷であればデータを残せる可能性もあります。
- 落下後に電源が入らない・本体が曲がった・強い衝撃を受けた場合は、通電・充電を避けてご相談ください。
- 何より、iCloudやパソコンへの日頃のバックアップが大切です。
| 端末 | 状況 | 診断結果 | データ復旧 |
|---|---|---|---|
| iPhone 15 Pro | 尻ポケットに入れたまま尻もち。筐体が変形。 | Aチップ(CPU/SoC)にクラックを確認。 | 当店診断では不可と判断。 |
| iPhone 13 | 現場作業中に強い落下。 | Aチップ(SoC)に明確なクラックを確認。 | 当店診断では不可と判断。 |
1,なぜAチップが損傷するとデータが戻らないことがあるのか
iPhoneの中で、写真やLINE・アプリのデータそのものを記憶しているのはNAND(ストレージ)というチップです。一方で、iPhone内のデータはAチップ(CPU/SoC)に統合されたSecure Enclaveなどの仕組みにより、暗号鍵が守られ強く保護されています。
そのため、NANDが無事でも、Aチップ側が物理的に損傷して必要な暗号処理を行えない場合、データを取り出せなくなることがあります。「画面は割れていないのに、中のデータが取り出せない」——これがAチップ損傷のこわいところです。今回ご紹介する2件は、いずれも当店での精密診断の結果、Aチップのクラックによりデータ復旧が難しいと判断したケースです。
2,事例①|iPhone 15 Pro(尻ポケットで尻もち・筐体変形)
女性のお客様。iPhone 15 Pro をズボンの尻ポケットに入れたまま、尻もちをついてしまったとのこと。取り出すと本体(筐体)自体が曲がっており、電源も入らない状態でした。
分解して顕微鏡で基板を確認したところ、Aチップ(CPU/SoC)にクラックが確認できました。筐体が変形するほどの力が基板に伝わり、チップが割れてしまったものと考えられます。
当店での精密診断の結果、Aチップの損傷が深く、データ復旧は不可と判断しました。本体としても、継続使用は難しい状態でした。
3,事例②|iPhone 13(現場作業で激しく落下)
男性のお客様。現場のお仕事中に iPhone 13 を激しく落下させてしまったとのこと。こちらも顕微鏡で確認すると、Aチップ(SoC)に明確なクラックが入っていました。
下の写真は、実際のAチップ(SoC)を顕微鏡で拡大したものです。チップを横切るひび(クラック)が確認できます。なお、Aチップ(SoC)はCPUの上に一時保管用のメモリが積み重なった部品で、写真ではその損傷がはっきりと見て取れます。
当店での精密診断の結果、この損傷状態ではデータを取り出すことはできませんでした。
4,Aチップのクラックでも、全部ダメではありません
ここで大切なことをお伝えします。Aチップのクラックは、すべてがデータ復旧不可というわけではありません。損傷の深さや範囲によって結果は変わります。
- 表層レベルの浅いクラック……内部の重要な回路や暗号処理に関わる部分まで損傷が及んでいなければ、データを残せる可能性があります。
- 内部まで深く達したクラック……今回のように、データ復旧が難しくなる場合があります。
見た目や症状だけでは判断できず、分解して顕微鏡で確認する精密診断(診断料 ¥7,700)ではじめて見込みが分かります。「落とした・曲がった・電源が入らない」からといって、すぐに諦める必要はありません。あきらめる前に、まず診断を受けてください。実際に、当店ではiPhoneのデータ復旧・取り出しや基板修理で救えたケースも多数あります。
落下後に電源が入らないiPhoneでやってはいけないこと
- 何度も電源を入れ直す:内部損傷がある状態で通電すると、状態が悪化する場合があります。
- 充電を続ける:基板損傷がある場合、ショートや発熱につながる可能性があります。
- 本体を無理に曲げ戻す:筐体変形を無理に戻すと、基板やチップへの負荷が増す場合があります。
- 自己判断で初期化・復元を試す:データが重要なら、初期化や復元を行う前にご相談ください。
落下後に電源が入らない・本体が曲がった・発熱する・充電反応がないといった症状がある場合は、通電・充電を避けて、できるだけ早くご相談ください。
落下後に電源が入らない・本体が曲がったiPhoneは、まず精密診断へ
Aチップのクラックや基板損傷は、外観だけでは判断できません。電話・店頭での簡単なご相談・料金目安のご案内は無料です。基板修理・データ復旧など、分解・測定を伴う精密診断が必要な場合は、診断料 ¥7,700で承ります(事前にご説明します)。
用語集|この事例で出てくる専門用語
よくあるご質問(Aチップのクラック・落下によるデータ復旧)
Q1. Aチップが損傷すると、なぜデータが戻らないことがあるのですか?
iPhoneのデータは、Aチップ(SoC)に統合されたSecure Enclaveなどの仕組みにより強く保護されています。データ本体を記憶するNANDが無事でも、Aチップ側が物理的に損傷して必要な暗号処理を行えない場合、データを取り出せなくなることがあります。
Q2. Aチップにクラックが入ったら、必ず諦めるしかないですか?
いいえ。クラックの深さや損傷範囲によって変わります。表層レベルの浅いクラックであれば、データを残せる可能性があります。内部まで深く達している場合は難しくなります。まずは顕微鏡での精密診断で見極めます。
Q3. 落下や尻ポケットで、Aチップが割れることはありますか?
強い衝撃や、座り込み・尻もちなどで筐体が曲がると、その力が基板に伝わり、Aチップなどのチップにクラックが入ることがあります。画面が割れていなくても内部で損傷しているケースがあります。
Q4. データが取り出せるか、事前に分かりますか?
分解して顕微鏡でAチップや基板の状態を確認する精密診断で、可否の見込みを判断します。電話・店頭での簡単な相談・料金目安のご案内は無料、分解・測定を伴う精密診断は診断料 ¥7,700で承ります(事前にご説明します)。
Q5. こうなる前にできることはありますか?
尻ポケットに入れない・耐衝撃ケースを使う・こまめにiCloudやパソコンへバックアップを取る、の3つが有効です。バックアップさえあれば、万一データが取り出せなくても大切な写真や思い出は守れます。
バックアップの取り方は、iCloud・パソコン(Finder/iTunes)を使った手順をまとめた iPhoneバックアップ完全ガイド で解説しています。
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記事更新日:2026年7月3日
この記事の監修
スマートドクタープロ(運営:株式会社クレア/法人番号 8120001165987)。総務省登録修理業者(電気通信事業法:T000002/電波法:R000002)・ISO9001:2015認証。年間6万件以上の修理実績をもとに、編集部が作成し技術品質管理室が内容を監修しています。
登録修理業者電気通信事業法:T000002
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